leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』岸田奈美

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった +かきたし (小学館文庫 き 16-1) 作者:岸田 奈美 小学館 Amazon 中学生のころに父が心筋梗塞で急逝した。4歳下の弟は、生まれつきダウン症で知的障害があった。 わたしが高校1年生のとき、自宅で母が倒…

『ハンチバック』市川沙央

第169回芥川賞受賞作を文藝春秋最新号で読む。 せむし(ハンチバック)の怪物の呟きが真っ直ぐな背骨を持つ人々の呟きよりねじくれないでいられるわけもないのに。 この2行に凝縮されているのかな。 どんな内容か、報道や単行本の売れ行きから楽しみにしてい…

『オレンジ・ランプ』山国秀幸

オレンジ・ランプ (幻冬舎文庫) 作者:山国秀幸 幻冬舎 Amazon 若年性アルツハイマー型認知症を39歳で診断された丹野智文さんを、本人と妻の双方から描き、映画の原作ともなった一冊。 丹野さんのことは、数年前から知っており、若年性認知症の病気も、その数…

『BEYOND THE STORY』BTS

【2刷:9月上旬発売予定】BEYOND THE STORY ビヨンド・ザ・ストーリー:10-YEAR RECORD OF BTS 作者:カン・ミョンソク,BTS 新潮社 Amazon この本、入手困難で、発売直後、初版が奇跡的に買えた。 愛おしく読み進め、再度、QRコードをなぞりながら、観たこと…

『羊をめぐる冒険』村上春樹

羊をめぐる冒険 文庫 上・下巻 完結セット (講談社文庫) 作者:村上春樹 Amazon 1982年に上梓された村上春樹、新人の頃の長編。 ブームになった頃は、読んでいなかったんだ。 紆余曲折を経て、旧友の「鼠」を探し求める。 右翼の大物の謎は「ハマのボス」のよ…

『神の子どもたちはみな踊る』村上春樹

神の子どもたちはみな踊る(新潮文庫) 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 1995年(平成7年)1月に起こった阪神淡路大震災。 その数年後1999年(平成11年)に発表され、2000年(平成12年)2月に単行本として出版され、今回読んだものはその2…

『夜のくもざる』村上春樹

夜のくもざる―村上朝日堂短篇小説 (新潮文庫) 作者:春樹, 村上 新潮社 Amazon 1995年に書かれた、安西水丸画伯との超短編36本。 長編を執筆していた合間の息抜きだったようで、着想と展開が思いもつかない。 当時、週刊朝日を定期購読していたので、連載して…

『レキシントンの幽霊』村上春樹

レキシントンの幽霊 (文春文庫) 作者:村上春樹 文藝春秋 Amazon 村上春樹の短編をまとめて読み進めている。 1996年に単行本として発表された7編。 総じて、改行が少なく、会話文も少なく、あっても独白だったりする。 「沈黙」について書き留めておきたい。 …

『TVピープル』村上春樹

TVピープル (文春文庫) 作者:村上春樹 文藝春秋 Amazon 1989年に発表された6つの短編集。 印象深かったのは、「我らの時代のフォークロアー高度資本主義前史」。 処女を捨てるかどうか。 こういう内容が多いので、村上春樹が受験の問題に取り上げられること…

映画『インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル』

www.disney.co.jp インディ・ジョーンズ、5作目なんだ。3作目と4作目の記憶がない。観ていなかったのかも。 でも、大きなスクリーンで観たかったし、60歳以上のシニア料金も適用できそうなので、夏休み前の午後、一人で予約して観に行った。TOHOシネマズのマ…

『女のいない男たち』村上春樹

女のいない男たち (文春文庫) 作者:村上春樹 文藝春秋 Amazon 読むのは3回目になるのか。6つの短編集。 妻の死後、妻の浮気の気配を問いただすこともできぬまま、浮気相手と妻について語り合う時をもつ(ドライブ・マイ・カー)。 考えてみれば、映画の配役…

『猫を棄てる』村上春樹

猫を棄てる 父親について語るとき (文春文庫) 作者:村上 春樹 文藝春秋 Amazon ずいぶん前に購入していたのだが、「つん読」していた一冊。この機会に。 20年以上、個人的な葛藤ゆえに、疎遠となっていた筆者の父と、最晩年には和解できたものの、ずっと刺さ…

『夢で会いましょう』村上春樹 糸井重里

夢で会いましょう (講談社文庫) 作者:村上 春樹,糸井 重里 講談社 Amazon 本書は1986年に書かれた。村上春樹によるともともとが糸井さんの散文のファンらしく、カタカナのことばを並べてどちらかが文を紡ぐという共著。 バブル前夜ということで、糸井重里が…

盛岡への旅 エピソード

盛岡への旅 2023年6月25日~28日 のエピソードをいくつか綴ります。 JR東日本のエリアを4日間乗り放題&6回までエリアの指定券を、15270円で購入できるお得な「JR大人の休日倶楽部パス」が、今年も6月22日から7月4日まで設定されている。 これを利用して、旧…

『うらやましい孤独死』森田洋之

うらやましい孤独死 作者:森田 洋之 三五館シンシャ Amazon NHKで何回か拝見したベニシアさんが亡くなった。認知症を患い、大原の古民家ではなく施設で最期を迎えたようだ。 「最期は施設で」「最期は胃ろうで」「最期は病院で」と医学的に正しい診察を提示…

村上春樹を2冊

東北への旅行に、村上春樹の文庫本を2冊携えた。 『回転木馬のデッド・ヒート』 回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫) 作者:村上春樹 講談社 Amazon 『1973年のピンボール』 1973年のピンボール (講談社文庫) 作者:村上春樹 講談社 Amazon 初期の…

『奇跡』林真理子

奇跡 作者:林真理子 講談社 Amazon 日大理事長に就任する直前に発表した、歌舞伎の片岡千之助くんのお母さまのお話。 登場する当人のみ実名で、あとは仮名なので、想像をたくましくするしかない。 時系列も行きつ戻りつの感があり、書くきっかけが「ママ友」…

『国境の南、太陽の西』村上春樹

国境の南、太陽の西 (講談社文庫) 作者:村上春樹 講談社 Amazon 村上春樹を精力的に読んでいる。 1992年に発表されたものだが、当時は読んでみようとは思わなかった。単行本は贅沢なものという思いがあったからか。 60歳を過ぎた今読んでよかったと思う。Spo…

『風の歌を聴け』村上春樹

風の歌を聴け (講談社文庫) 作者:村上春樹 講談社 Amazon 「村上春樹をはじめから読んでみよう」の一環。 村上春樹のデビュー作(1979年)。群像新人賞を受賞している。 1970年の帰省した僕が、友人の鼠と過ごした夏の日々。 あちこちに飛ぶのが「乾いた軽快…

『カンガルー日和』村上春樹

カンガルー日和 (講談社文庫) 作者:村上春樹 講談社 Amazon 村上春樹の新作を読んだので、初期の本も読んでみたくなり、ブックオフオンラインで何冊か購入した。18編のショート・ストーリー。 何か胸に迫るものがあると思ったのは、これが連載されたのが、19…

『夜の寝覚め』小池真理子

夜の寝覚め (集英社文庫) 作者:小池真理子 集英社 Amazon 何冊かブックオフオンラインで買い求めた中の一冊。 中年女性の隠れた思いを呼び起こさせるのに長けた文章が連なる短編集。 残したい文章もいくつかあれど、せつなくなるだけ。 また10年後に読み返…

『街とその不確かな壁』村上春樹

街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 600pを超える村上春樹の新作。 とはいえ、1980年に書いたものを、2022年12月に完成させた大著である。 1部は、正直読みづらかった。行きつ戻りつ、「もう挫折かな?」と思ったほど。 登場人物…

『コメンテーター』奥田英朗

コメンテーター ドクター伊良部 (文春e-book) 作者:奥田 英朗 文藝春秋 Amazon 奥田英朗の新刊。5つの短編で構成され、どれも精神科医の伊良部とマユミが登場し、こじれた患者や世の中を突き抜ける! ワイドショーのコメンテーターとして、精神科医伊良部が…

『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、ルーマニア語の小説家になった話』済東鉄腸

千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話 作者:済東鉄腸 左右社* Amazon ハングルの勉強を始めた私にとり、とても興味があり、図書館で予約。 DJの小林克也さんも、英語圏に行くことなく、…

『町長選挙』奥田英朗

町長選挙 ドクター伊良部 作者:奥田 英朗 文藝春秋 Amazon 奥田英朗の最新刊『コメンテーター』を注文する際に、まだ読んでいなかったと気づき、同時に注文。まずこちらから読んでみた。2005年、2006年に初出。 トンデモ精神医・伊良部が登場する4つのスト…

『マリアビートル』伊坂幸太郎

マリアビートル (角川文庫) 作者:伊坂 幸太郎 KADOKAWA Amazon ブラット・ピット主演で、映画化された原作。 とはいえ、原作の方が、100倍よい。 東北新幹線を舞台に、闇の仕事に手を染める複数が、北上する車内で、交錯する。 中学生の「王子」が、小憎…

『グループサウンズ』近田春夫

グループサウンズ (文春新書) 作者:近田 春夫 文藝春秋 Amazon 今年2月に出版された文春文庫。 筆者の近田春夫さんの近影が、ずいぶん私の知っている印象と違い、下井草秀という昭和46年生まれのライターを相手に、この1冊をまとめている。 グループサウンズ…

映画『ブレット・トレイン』

ブレット・トレイン (字幕版) ブラッド・ピット Amazon 原作、伊坂幸太郎の『マリア・ビートル』、主役ブラッド・ピットで昨年ハリウッド映画として公開された作品を、WOWOWを録画して視聴。 日本の新幹線を舞台に、複数の暗殺者が目的遂行のために、殺戮を…

『家族終了』酒井順子

家族終了 (集英社文庫) 作者:酒井順子 集英社 Amazon 「負け犬の遠吠え」で、独身中年女性の当事者の本音を綴った作者が、唯一の血縁家族を失い、「家族が終わった」ことに対し、様々なアプローチで、単身世帯の「フツウ」を描いている。 血縁の両親が存命中…

映画『高瀬舟』

時代劇専門チャンネルの放映を録画して視聴。 www.jidaigeki.com 森鴎外原作だが、未読。 45分の映画で、1988年制作ということは、前田吟さんは、寅さん映画等ですでに有名。 兄弟役の二人は、全く知らなかったが、現在も俳優らしい。 安楽死の話題になると…