『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』という筆者へのインタビュー集に、1999年島森路子さんが聞き手となって『スプートニクの恋人』について語っている箇所があり、自分の読みの浅さを実感し、再読。
出だしのワン・パラグラフを、あるとき、なんとなく書いちゃったんです。
「ぼく」と「すみれ」と「ミュウ」の三人だけを設定した。
全部隈なくネジを締めてみようと考えた。
最初は何も決まっていない。(インタビュー集より)
村上春樹の良さは、ストーリーの押しつけがないところだ。
登場人物が最後にどうなったのか、読者の想像に委ねるところがある。特に「すみれ」。後半はギリシャに舞台が飛び、それは筆者が10年ほど前に滞在した蓄積を寝かせてようやくここで出してきた。
そして最後に教え子の「にんじん」が出てくる。終わり(結末ではない)に向かって欠かせない役割を果たしている。
村上春樹の長編は、やはり幾度も読み返したくなる。
インタビュー集とその原作を行き来しているので、今後、ブログにアップできるペースは遅くなってしまう。