leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『ダンス・ダンス・ダンス』村上春樹

 

1988年に発表された長編。主人公は38歳の「僕」。

様々な人物が登場する中、興味を覚えたのは、ディック・ノース。

ベトナム戦争での不慮の事故で片腕を失った後、日本で妻子と暮らしていたが、写真家アメに寄り添いハワイから箱根に転居した直後、「車の左側通行に神経が馴れず」トラックにはねられて亡くなってしまった。

台所はいかにもディック・ノースが働きやすいようによく整頓されていたが、死後一日を経ずしてそこにははっきりとした崩壊の様相がうかがえた。(下・p.243)

僕の周囲で起きる様々なできごとが、どのようにリンクしているのか、夢か思考か現実か、最後まで目が離せない展開だった。

「ダイヤルを回す」電話や図書館での調べ物(携帯やネットがある今とは違う)、曲がわかる人や流行っていた頃の街を知っている人だけが共有できる時代性は、若い人や外国の人はどこまで共感できるのだろうと心配してしまうほど。

本作でも「羊男」が登場した。「村上春樹の羊男研究家」はいるのだろうか?と思い調べたら、存在するのですね!