長編を取り組む決心がつかず、「村上春樹とは何者か?」という疑問に迫れるような読みやすいものに逃亡中。
本書は2007年に単行本として出版された、「ランニングという行為を軸にした一種の『メモワール』」(前書きより)だ。
1982年に専業作家としてのスタートと共に路上を走り始め、毎年最低1回のフルマラソンはもちろん、100キロマラソン、トライアスロンまで、ゴールで「もう走らなくてもいい」という感覚を得たいがために、黙々と走る。日々鍛錬する。
生活のサイクルも、トレーニングのために朝型となり、夜の付き合いはしない。ましてや「文壇」と言われる集団とは距離を置いている。
本書で「ニューヨークの秋」というジャズ・スタンダードの、曲と名前が一致した。