leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『クスノキの番人』東野圭吾

 

クスノキの番人

クスノキの番人

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2020/03/17
  • メディア: ハードカバー
 

 東野圭吾さんの新作。母が好きなので、私が読んでから届けるつもりです。

にっちもさっちも行かなくなったある若者の「逆転人生」。

主人公「玲斗」は警察の留置場から救い出され、「クスノキの番人」として社務所で起居することになる。

恩人の千舟をはじめ、依頼人依頼人をとりまく人々の意図に翻弄されつつも、玲斗自身が、もがき、光明を求めて這い上がる。

「祈念」の種明かしは意外なものなのだが、現代的な展開より、読者の夢想が叶えられる余白を残したものか。

「世界同時期発売」なのだそうです。外国の方の感想を知りたくなります。

ドラマ『カルテット』

 

 

TBSチャンネルで、2017年のドラマ『カルテット』を一気に放映していたので、録画して一気見。

ネットではまだ連続ドラマの一気見をしたことがないので、これが初めてかも。

坂元裕二さんのオリジナル脚本で、高い評価を受けていたこともあり。

4人が「カルテット」を組み、共同生活と音楽活動をするのだが、それぞれの出自、結婚、お互いの恋愛感情、そして音楽活動の成否。

 

◆第4話で、高橋一生が別れて暮らす妻子と再会するシーンは、横須賀のヴェルニー公園だ!

宮藤官九郎松たか子の元夫役。頼りないことこの上ないのだが、結婚観のすれ違いを巧みに演じていた。

松田龍平が「学級委員長のような役回りの自分が音楽活動では目が出ず、ドロップアウトしていった仲間が、今では世界で活躍している」と語る。自虐的ではあるが、真実を言い当てている。

吉岡里帆演じるトラップを仕掛け続ける女性が「人生、チョロかった!」と言い放つ場面は、印象に残るセリフの一つ。

◆軽井沢の大賀ホールで、最後のコンサートを満員にしたが、1曲目で席を立つ客が多かった。でも、考えてみたら、軽井沢の大賀ホール。せっかく来場したら、最後まで普通聴くはず。

 

連続ドラマを10週も、しかもCMをガマンしながら見続けることは、もうできない。

今、放映しているドラマも「きっと数年後、まとめて観られるはず。評判がよいかどうかも見極めてから」と思えてしまいました。

 

 

『蜩ノ記』葉室麟

 

蜩ノ記 羽根藩 (祥伝社文庫)

蜩ノ記 羽根藩 (祥伝社文庫)

 

 ブックオフオンラインで10冊ほど買った中の1冊。

時間ができたので、ようやく。残念ながら筆者は2017年に亡くなっている。

豊後羽根藩の庄三郎は、「若気の至り」とも言える不始末から、山奥で幽閉中の戸田秋谷の監視を命ぜられる。秋谷は、お沙汰から10年後の切腹が決まっていた。

秋谷の人柄に触れるにつけ、あと3年で切腹という運命を受け入れる本人と、秋谷の家族と共に過ごす中で、いくつもの真相が見えてきた庄三郎。

最後まであっという間のタイムワープ。

今日の私の「ひぐらしの記」。

『幸せのちから』

 

幸せのちから (字幕版)

幸せのちから (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 ウィル・スミスが好きです。

彼の息子と共演しているこの作品も、いつか観てみたいと思っていた一作。

公開からもう8年も経つのですね。実話ということも初めて知りました。

原題に含まれた意図、クリス・ガードナーの映画では描かれていないエピソード、

息子の現在など、このブログを書く前にひとしきり検索したら、その深さを追体験できたようでした。ラスト・シーンに本人も登場しているようです。

 

『スパイの妻』

 

スパイの妻<劇場版>

スパイの妻<劇場版>

  • 発売日: 2021/03/03
  • メディア: Prime Video
 

 もうNHKBS2に登場? 早くない? と思いつつ、録画して翌日観る。

NHKが製作に協力し、8Kカメラで撮ったドラマが先に放映されている(見逃した!)。

主人公(蒼井優)が夫(高橋一生)の行いを知っていくにつれ、「あなたがスパイなら私はスパイの妻になります」と変貌を告げる。

幼馴染の憲兵東出昌大)が主人公を横恋慕。非常な拷問もできちゃう。

往年の名画「河内山宗俊」のフィルムも挿入されるのだが、あっけなかった。

ドラマと結末が異なるとか、つまらないとか、いろいろな批評が飛び交う中、事前に先入観はやはりない方が。

ドラマの再放送があったら、是非観てみたい。

 

『オリーヴ・キタリッジ、ふたたび』エリザベス・ストラウト

 

 久しぶりの書き込みになってしまいました!

書評で高評価だったので、ポチっと購読してみたのですが、これがもう436ページもある大作で、道理でお値段も高いと思いました。

短編集なのですが、カタカナの人名がなかなか頭に残らず、改めて人名は漢字や英語のスペリングにあってこそのアイデンティティだと納得。

で、前作でピュリッツァー賞を獲った作品の続編なのですが、前作を読まないまま読み進めたので、少々状況が飲み込めない場面も。

それでも二人の夫を見送り、離れた家族を気遣い、ウキウキすることばかりの毎日ではなく、リアルな「老境」が描かれています。

メリー州の架空の街が舞台ですが、数年ぶりの再会があったり、ニューヨークとの距離感を想像したり。

Spotifyで、穏やかなクラシックをBGMに読み進めたのですが、今、自らが「穏やか」とは無縁の生活なので、近い将来「穏やか」を迎えたら、再読したいと思っております。

『魔王』伊坂幸太郎

 

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

 

 伊坂幸太郎さんの作品は、ほぼ読みつくしているのだが、これだけ機会を逸し、ブックオフオンラインで200円という破格で入手できたので、ようやく。

2005年に単行本として出版されていたので、東日本大震災政権交代もまだまだ先のこと。

主人公兄弟は、両親を交通事故で亡くす。ああ、ここで個人的に感涙。

兄はふと、自分の超能力(?)に気づかされる。疑問を持ちつつ、試行錯誤を繰り返し、その能力の有効活用を図ろうとする。

宮沢賢治の知らなかった詩作一編も重要なポイント。

そしてシューベルトの『魔王』。

登場人物も多いのだが、どんな意味があるのだろうか?とついつい深読みしてしまう。

 

(4/21追記)

たった1か月ほど前の書き込みなのに、忙しい日々の中だったせいか、読み直す。

読み手の想像に委ねる「余白」が多いことも魅力の一つ。すべて回収する必要はない。

もう一度読んで本当によかった。