leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『街とその不確かな壁』村上春樹(再読)

 

昨年の誕生日に、読んでいたんだ。その時の読書のあまりのふがいなさに、リベンジしてみた。今回は、読書環境としては恵まれており、1200枚の長編に没頭することができた。

16歳と17歳の初々しいカップル。「夢読み」という職業。子易さん、添田さん、イエロー・サブマリンのTシャツを着た少年。コーヒーショップの女店主。水曜日の少年。

それぞれ魅力的な登場人物、疑問が余韻として残る情景、現実と非現実の往来…。

ロシア5人組」という言葉も初めて知り、Spotifyで、バラキエフの1949年カラヤン指揮Symphony in Cmajor を聴きながら、これを書いている。

「あと一人」は、ツェーザリ・キュイかな?

ジェリー・マリガンの『ウォーキン・シューズ』もコーヒーによく合う曲だ。

私の生まれた日は、土曜日だった。

今では、『高精度計算サイト』で調べることができる。

 

 

『まく子』西加奈子

 

図書館から予約した本だったので、さっさと読むことに。

子どもから大人になるための「通過儀礼」。セイリ、セイツウ、親のウワキ…。

そんなことを乗り越えて、祭りのかけ声「サーイセ」の意味を知る。

「まく子」というのは、女の子の名前ではなかったのだ。

筆者である西加奈子さんの挿画が、アクセントになっている。

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(再々読)村上春樹

 

1ヶ月前に読んだはずなのに、乱読していたせいか、さっぱり思い出せない。

この本をオススメする文章があり、本気で一日で読了。

そうなんだ。この読書スピードでないと、前後の脈絡や登場人物の性格や場面転換がつながらないんだ。

名古屋での高校時代に男性3人、女性2人の5人で友情を育んでいた「つくる」は、1人上京し大学に進学。20歳の頃、残りの4人から納得のいかない「拒絶」を受ける。

36歳の現在、沙羅との出会いに促されるように、その真相を確かめるために名古屋とフィンランドまで「巡礼」の旅に出る。

その結果、すべてが納得できたわけではない。プール仲間の灰田は戻ってこない。

沙羅に対しても、新たな疑惑が生じた。

いずれにせよすべては明日のことだ。

ようやく本書について、誰かと話せることができそうだ。

 

BGM:ラザール・ベルマン 巡礼の年

『ル・マル・デュ・ペイ』(田園風景が人の心に呼び起こす、理由のない哀しみ)

『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹

 

長編を取り組む決心がつかず、「村上春樹とは何者か?」という疑問に迫れるような読みやすいものに逃亡中。

本書は2007年に単行本として出版された、「ランニングという行為を軸にした一種の『メモワール』」(前書きより)だ。

1982年に専業作家としてのスタートと共に路上を走り始め、毎年最低1回のフルマラソンはもちろん、100キロマラソントライアスロンまで、ゴールで「もう走らなくてもいい」という感覚を得たいがために、黙々と走る。日々鍛錬する。

生活のサイクルも、トレーニングのために朝型となり、夜の付き合いはしない。ましてや「文壇」と言われる集団とは距離を置いている。

本書で「ニューヨークの秋」というジャズ・スタンダードの、曲と名前が一致した。

 

 

『職業としての小説家』村上春樹

 

テレビには出ず、インタビューも記事になることはない。

海外で暮らすことが多い。そして誤解はどんどん多くなる。

そんな状況を打破するために、本書は書かれたのだろう。

執筆活動中の暮らし、村上春樹ができるまで、読者との関係性、翻訳活動の意義、文学賞(特に芥川賞)との「薄い」縁…。

この本を読んで、村上春樹の深さも対岸も見えない海に、今しばらく、流されてみようと決意を新たにしました。

『東京奇譚集』村上春樹

 

昨日、母の病院の付き添いの往復で読もうと鞄に入れ、途中になり、今日読了。

平成17年に刊行された短編集。

「偶然」や「ありえない奇跡」がもたらしたいくつかの邂逅。

「偶然の旅人」や「ハナレイ・ベイ」は、すぐにでも読んでほしい人の顔が浮かんだ。

乳がん手術をしたり、息子を亡くしたり。

品川猿」は、猿の登場がイマイチ解せないが、嫉妬にかられる学友って思い当たる。

「日々移動する腎臓のかたちをした石」で父親が語る「男が一生に出会う中で、本当に意味を持つ女は三人しかいない」という「断言」は、女性にも当てはまるだろう。

ウン、私も三人だ。

 

『偉大なる、しゅららぼん』万城目学(再読)

 

2011年8月に読んでいました。「しゅららぼん」の正体だけ、うっすらと記憶に残っていたのですが、改めて読み、物語の舞台が琵琶湖をめぐってのお家騒動。しかも現代版。面白かった!

2006年のデビュー以来、文学賞に落ち続けた万城目さん。本人が主人公なのではないかと思えてしまう、可笑しさが漂う。何かに翻弄されてしまうところなぞ。

映像化できそうもない内容かと思っていたのですが、映画化されているのですね。機会があればみたいものです。