2021年3月に記事をアップし、4月に追記もしているのに、3回目の読書体験。
実に新鮮に読めたのは、認知症の始まりか? 考えたくもないけど。
主人公兄弟の両親は、交通事故で同時に亡くなる。文庫版37ページの記述だが、読むたびに心が塞がれる思い。
その後兄には不思議な腹話術能力が宿り、その能力を試し、使ってみるにつけ、自らの命を縮めていることに気づけない。大学の同級生「島」、バー「ドューチェ」のマスター、ひと癖も二癖もありそうな登場人物だが、全ての謎を回収しているわけではない。
それでいいのだと思う。読者の想像があれこれ膨らむから。
「魔王」の続編「呼吸」は、残された弟・潤也の5年後。これまた、すっきりとした謎解きは読者に委ねれている。
ここに描かれている当時は、小泉政治の勢いが強かった頃だが、ロシアのプーチン体制が描かれているかと思えてしまう。ロシア国民にこの本を勧めてみたい。