leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

映画『すばらしき世界』

 

西川美和監督、役所広司さん主演の映画。出所した人間が、どうやって社会復帰していくか。WOWOWで録画したものを視聴。

正義感の強い人間は、見て見ぬふりができず、「やくざ」までにもなってしまう。

刑期を終え出所した主人公には、身元保証人、ケースワーカー、スーパー店主など、周囲の支えはあるものの、日常は「瞬間湯沸かし器」になってしまいそうな出来事の連続。

特に、同じアパートの下の階でのゲームに興じる若者に苦情を告げるシーンや、自動車免許の実技試験、やっとの思いで就いた介護施設の職員同士の無理解やいじめ。「ぐっとこらえる」ことの連続なのだ。

ちょうど手元にあった『文藝春秋』3月号にも、この映画を取り上げた記事があり、映画を観終わったあとにタイムリーに読むことができ、映画の背景を掘り下げることができた。

 

実は、金曜の仕事帰りに、最寄りの駅のホームのエレベーター待ちの列の後方で、杖をついた人が、同じエレベーターを待つ男性に向かい「昨日の態度はなんだ!」と急に杖をふりかざすという状況に遭遇した。数日前からの恨みを晴らしていたようだ。

先にエレベーターに乗り込んでしまい、ホームに二人を残してとりあえず駅員に通報をと思い、改札近くの事務室を見ると「駅員がいない」。数人の正義感の強そうな方に任せて、私は帰宅してしまった。

ずっと気になっていたので、休日だった今日、駅員に経過を聴いたところ、二人を事務室に連れて話を聴き、結局、警察に引き渡したそうで、起訴に至ったかどうかは、お客様次第とのこと。

「駅員が少なく、何かあると事務室を閉めてホームに行かなくてはならないのです」と、緊急時には対応が遅くなることを認めていた。

杖をついたあの人がいたら、これからはエレベーターに乗るのはあきらめようと思いつつ、杖をついた人を含めすべての人がもう少し笑顔で毎日を送れる「すばらしき世界」は来ないものかと思わされたのでした。