leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『眠り』『ねむり』村上春樹

 

ねむり

ねむり

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1989年、村上春樹は40歳を迎えたばかり。『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』が成功を収めたが、「心が堅くなり、冷え込んでいるのが自分でもわかった」(『ねむり』あとがきより)、『眠り』という短編小説が『TVピープル』とセットで書かれ、『眠り』は、英語に翻訳された後、ドイツでカット・メンシックさんのイラストレーション付きでデュモン社から単行本化された。

それを日本語でも出版しようとした際に、文章的な「ヴァージョン・アップ」が試みられた。2010年9月に、発行されたのが「ねむり」。

で、どちらも手元にあったので、その「差分」をつきつめたくなり、2冊を並べて、『眠り』にマーカーで印をつける。という作業を進めた。

本当は、ストーリー的なバージョン・アップを期待していたが、言い回しや主語の有無だったり筆者の「こだわり」に思えるようだった。翻訳に携わる者ならこの試行錯誤は重要なのであろうが。

どちらを手に取ろうと、決して損はない。