図書館で予約しようとすると、絶望的な予約数。で、文庫化される前の単行本を予約し、読むことができた。
筆者の作品は、まだ数冊しか触れていないが、妙に静かで、登場人物がみな穏やか。
自然描写、食べるものへの描写も秀逸で「満たされる」とはこのことか。
本書の予備知識は何もなく読み始めたので、意外な展開に驚かされてしまう。
私の拙い文章で、その感激は奪いたくもない。
主人公にふりかかる困難。生活を重ねていくことの愛おしさ。
光、庭の匂い、見えないけど鮮やかな色の数々。
恋愛だって、するんです。
お金はどうしているんだろう? 税金や役所との関係は? それはさておき…。
それはファンタジーの世界ではなく、予想もしない事件に見舞われ、それを克服するための長い年月。
「暮らしを紡いでいく」とはまさにこのこと。