2022年2月5日、タクシー内で意識を失い、筆者が亡くなったというニュースには驚きだった。アル中かと思っていたら、心疾患とあった。太っていたからか。
で、この本を見つけ、図書館で予約し、拝読。
芥川賞受賞作「苦役列車」は読んだが、いつもどうにも繰り返し同じ描写が多い。
本作も作者を投影した貫多が、藤澤淸造の歿後弟子としての日々を送る私小説3編。
藤澤淸造の全集発刊に奔走する出版界の実像もおもしろい。どこの文庫の出版社が筆者に好意的な返事をしてくれるのか、実名で掲載されている。すごいな。
自分の”歿後弟子"道のみが、彼にとっての唯一の生き甲斐であり、くだらぬ編輯者(サラリーマン)にも頭を下げて、意地ずくで小説を書き続ける理由なのである。
白内障、頸椎のヘルニアなど、持病の悪化の描写があると、自分の死もどんな風に描かれるのだろうという無い物ねだりの気持ちで、読み進めてしまう。
死後の印税で、師匠の隣に眠れるといいのだが。
追記:「魂を継ぐもの」という西村賢太のBS番組を観ていたら、師匠の墓の隣に彼の墓が建てられていた。いつかお参りしたいものです。