生前の遠藤周作は、狐狸庵先生のイメージが強く、筆者がどうしてキリスト教に入信したのか、どういう来歴なのか、知る由もなかった。
この文庫では「母をめぐる物語」という副題がつけられ、6編の短編により、両親の別れ、破壊した神父、文学部進学に対する父の反対など、後の作品が「必然」と思える魂の成長、揺さぶりが伝わる。
戦前の中国・大連での生活も描かれ、満州での日本人の暮らしも活写されている。
折しも「宗教二世」というキーワードのドラマまで目にすることになる今日。
今日、電車で移動する時間が多いので、もう一度読んでみよう。