9月24・25日に、蓼科高原にある大学で所属していたゼミの恩師を訪ね、そこで「これを読んでください」と紹介された一冊。図書館で借りました(^^;)。
インドネシアという国の印象は、「デヴィ夫人」「スカルノ大統領」「観光地バリ」くらいと乏しいもの。しかし、本書によると1965年9月30日、スカルノ大統領は失脚し、アメリカCIAが後押ししたスハルトが政権を完全に掌握した。
共産主義者(PKI・インドネシア共産党)のクーデターを抑えるためという物語を拡散させ、関係者を殲滅する。100万人にも及ぶと言われているこの事件は、国内外に真実を伝えられることがないまま、葬られた。
この成功体験を「ジャカルタ・メソッド(方式)」として世界で共産勢力の撲滅が進められた。
当時の証言をする者が少なくなる中、10年間にわたって史実を集めた本書。
1955年には、インドネシアのバンドンで、アジア・アフリカ会議が開催され「第三世界」では、東西両陣営のいずれにも属さず、植民地主義と闘い、民族自決の未来を切り拓くと語られ、これが社会の教科書でも東南アジアの数少ない学ぶべきこととなっていた。たったその10年後に、一般市民への大量殺戮が行なわれ、CIAは全世界で非常な絶滅プログラムを進めた。
教科書で学ぶ歴史はほんの一部のこと。知らないことはたくさんある。死ぬまでに知り得ることもバイアスがかかる。そういうリスクを自覚しているかどうかは大きな違いだ。