leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『商業美術家の逆襲-もうひとつの日本美術史』山下裕二

 

今は母校の芸術学科教授となった山下裕二氏。

権威主義的な美術界に反旗を翻し、埋もれている商業美術家たちを「再評価」することで、明治以降の「もうひとつの美術史」を提起している。

そもそも「日本画壇」のメインストリームをしっかりと把握していない私にとっては、マンガも村上隆奈良美智も世界で評価されていて、展覧会も落札価格もクラクラするような高値で売買されている。日本美術画壇って、東京藝術大学美術学部を中心とするものかと思いきや、次期学長はあのダンボール作家「日比野克彦氏」であったりする。

そして山下裕二氏も、今や個展に顔を出すだけで作家が「うれしい」と思わせられる権威である。

本書では、キャバレー王「福富太郎」のコレクションも語られ、小学館の子供向け学習誌の表紙絵を担当した玉井力三にも触れている。ノスタルジックな子どもの表情は懐かしいのひと言。

70点を超えるカラー図版もあり、眺めているだけで楽しくなる。