leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『超国家主義』中島岳志

 

超国家主義 (単行本)

超国家主義 (単行本)

 

 大学で社会科中学1級・高校2級という教員免許を取得した。

日本史の講義は「真崎甚三郎日記」1冊を一年かけて紹介された。

頭には何も残っていない。教壇に立って、生徒に何を語れというのだ!

結局、教員試験を受ける機会は逸し、今や更新制なので教壇に立つこともなく『0から学ぶ「日本史」講義』(出口治明)の内容が新鮮だ。

この本には、戦前の国家主義者が取り上げられている。

北村透谷に始まり、藤村操、宮澤賢治倉田百三大川周明北一輝頭山満等々。

若者が世の中に疑問を投げかけ、師と仰ぐ人をみつけると、何故か盲目的に全幅の信頼をおいて、殺人者(テロリスト)となり果てるほど身を投じる。

初の政党内閣の原首相も案外国民からの支持は受けていないようだ。

彼が抱きしめたのは「一君万民」イデオロギーだった。日本国体に準拠すれば、超越的存在である天皇の下、万民は一般化される。天皇以外に特別な人間など存在しない。階級や身分に根拠はない。国民はすべて平等であり、一律に天皇の大御心に包まれる。

しかし、現実は違う。国民の間には歴然とした貧富の差があり、財閥が幸福を独占している。平等であるはずの国民は、なぜに不平等を強いられているのか。なぜ、自分は日本国民として幸福を享受できないのか。

それは、大御心を阻害する「君側の奸」が存在するからである。天皇と国民を切り離す政党政治家や財閥が存在するからである。

朝日平吾の不愉快)から

こうして、世の中と折り合いがつけられない若者がテロに向かう。

今の世の中の閉塞感が、「テロリスト待望論」と結びつかないことを。