伊坂幸太郎の新作。2篇の小説が筆者らしい「疾走感」を奏でながら描かれている。
1作目「シーソーモンスター」は、嫁姑の争いなのだが、この嫁姑、タダものではない。だからこそ、お互い疑心暗鬼に囚われ、泥沼にはまり込む。
2作目「スピンモンスター」、実は、なかなか読み進められなかった。なぜなら、幼くして交通事故で家族を失うという設定に、辛いものがあったから。
しかもAIの自動運転が引き起こす悲劇ゆえ、いつもの「伊坂幸太郎ワールド」に浸ることができにくかった。それでも数日後にはガンガン読み進められたのだが。
結末は、一読だけで理解するのは難しい。何度も味わって、ようやく作品の「滋味」に触れることができる。