終戦記念日に、職場の同僚から、満州で日本兵として従軍した父親の新聞記事を見せていただいた。タイミングよく、図書館から予約の順番が来たと連絡を受け、拝読。
大正9年(1920)に生まれた岸富美子。同じ年に、原節子、李香蘭が生まれている。14歳で第1映画社で働くことになる。16歳で「新しき土」という日独合作映画に編集助手として参加。遠くから主演の原節子に見とれていた。そのとき26歳のドイツ人映画編集者アリスさんに啓発され、映画編集の仕事を続けるために19歳で満州に行き、満映に入社。理事長は甘粕正彦氏であった。東洋一の大撮影所で、日中合作映画「支那の夜」にも参加。終戦を知った甘粕正彦氏の最期、翻弄される家族、ようやくの引揚。
日本の土を踏んだのは昭和28年(1953)であった。
それまでの波乱万丈の運命は、いつか大河ドラマに描かれてもおかしくないほど。
満州の終戦前後の記録には、なかなか触れることができなかったが、本書はとても読みやすく、注釈も適切で、同僚にも昼休みに本書を紹介してしまった。