正しい書名は『社会運動の戸惑い~フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』。
社会運動の戸惑い: フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動
- 作者: 山口智美,斉藤正美,荻上チキ
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2012/10/31
- メディア: 単行本
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これではきっと本書の面白さが伝わりにくいので、ブログのタイトルを変えた。
私にとっては、湊かなえさんの小説に匹敵するおもしろさ!
- ジェンダー・フリーとか、リプロダクティブ・ライツ/ヘルスという用語を、いつの間にか見かけなくなった。
- 上野千鶴子さんの講演での発言「都からは講演の依頼が途絶えている」。
- 「バックラッシュ」という現象が、フェミニズムの動きを鈍らせている。
- 埼玉の国立女性教育会館は、有効的に活用されているのか?
ここ数年来抱いていたぼんやりした疑問。
これらの動きをまとめている本も、人と語ることもなかったので、そのままだったが、この本で一気に解消できた。
まず、「ジェンダー・フリー」という言葉への誤解。
アメリカの教育学者バーバラ・ヒューストンが「ジェンダー・フリー」という概念を提唱していると日本に紹介されたが、実際の彼女の論文では、ジェンダーフリーは、平等教育の達成には不適切なアプローチだと批判し、ジェンダーに敏感になることを意味する「ジェンダー・センシティブ」の重要さが訴えられている。
「バックラッシュ」の動きは、地方の条例制定に反対を唱えた『世界日報』が、「性別又は性別思考にかかわらずすべての人を尊重する」という文言に対し「”同性愛解放区”に向かう自治体」と注目を集める記事を掲げたことに端を発した。
「ジェンダーフリー」→「フリーセックスコミューン」 ものすごい飛躍だ!
こうして、ほとほと嫌気を差す形で、もう「ジェンダーフリー」とは、誰も言いださなくなってしまったのだ。
熊谷にいた頃、国立女性教育会館のイベント案内のチラシを公的施設で目にした。
しかし、何せ、アクセスが悪く、泊りがけの研修施設かなと思っていた。
2009年の民主党政権による事業仕分けで、蓮舫参議院議員に対し、国立女性教育会館長が「私の話も聞いてください!」と訴え、話題となった。
現在、NPO法人化の可能性や他の国立組織との統合の可能性が議論されている。
この女性向け「箱モノ」の経緯も詳細に記されている。
女性政策にモノ申す「バックラッシャー」という一団も誕生し、その対応は、ネットを活用する局面に。
実際に当事者に会い、証言を得て綴られているので、真実を突き止めるまでのプロセスは、本当に推理小説のようで、見事。