leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『マジカルグランマ』柚木麻子

 

マジカルグランマ

マジカルグランマ

 

 定期購読している週刊朝日に連載されていたものだが、どうも新聞や週刊誌の小説を読む習慣がなく、今回も単行本になってから購読。

筆者の描く女性は、理想像でもなくすべて共感できるわけでもなく、まるで「イヤミス」の登場人物のようだが、読み進めるうちに、「自分にもこういうところがあるかもしれない」と気づかさせてくれる。「まいったな」という思いと共に。

知人の夫もこの主人公のように、家庭内別居をしており、自宅の敷地内で経営しているアパートの一室で死んでいたのに気づかなかった。先日会ったときも、聴いてみたかったが、そのことに関してはタブーのようで、触れることができなかった。

そして、杏奈のように、自分の思いだけが突っ走る勘違い人間も増えてきている。

でも、この本の特筆すべき点は、疎まれるはずの者がコミュニティの中に取り込まれ、役割を見出すところにある。主人公自身が、何度くじけても立ち上がるのだが。

高齢者を描いている小説でも、「理想のおばあちゃん(=マジカルグランマ)」からは突き抜けている。70代だとまだまだこういう感性もあるのか。

母の感想を聴いてみたい。早く読ませよう。