クールファイブの歌を想起している皆さん、こんな女にだまされちゃいけません。
カオリン、木村香苗、上田美由紀と、男を不幸にする女性の事件は、男が犯人だった場合より、10倍くらい面白おかしくマスコミの餌食になる。
この連作長編小説では、ある地方都市で、糸井美幸という女性をめぐって、喰うか喰われるかというやりとりが綴られる。
彼女の正体や本音は見え隠れするものの、周囲も読者も、捉えようと思うと、するりとかわされる。正義を貫こうと思うと、もしかしたら、美幸側にも一理あるかもしれないと、追及の信念さえ揺らいでしまう。
『こんな女に翻弄されたら本望』という男も多くなっているのかもしれない。
事件の犠牲者はその限りではないであろうが。
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/11/30
- メディア: 単行本
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