leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『少年と犬』 馳 星周

 

【第163回 直木賞受賞作】少年と犬 (文春e-book)
 

 馳 星周さんが、今さらながらの直木賞

96年に『不夜城』でデビューし、金城武さんの映画も印象に強く残っている。

で、動物ものは不得手なのだが、購読してみた。

さすらいの犬(多聞)が登場する。東日本大震災の被災地から熊本まで、ボロボロになりながら、行き交う主への邂逅を重ね、ついには、会うべき人にたどり着き、そこでもなすべき役割を果たす。

こんなにも賢く、「主」によりそう犬はいるのだろうか。

『還暦からの底力』出口治明

 

 NHKBSで『最後の講義』を録画して観た直後にこの本を読む。

同じことを繰り返しているな~と思ったら、後半は、新書版オリジナルの持論が展開されています。

この方の週刊文春で連載されている日本史の記事にも注目していたので、どんな中身なのか、気になっておりました。

クオータ制を促すための配偶者控除撤廃は、なるほどと思わされました。

私もその恩恵が受けられるからいいやと、何十年という長きに渡り、キャリアを捨てていたのですから。

還暦からどう生きなさいという蘊蓄もなく、もっと楽しいことがやれるという気分にさせてくれました。自分の今の状況も、あながち、間違ってはいないとも。

『一人称単数』村上春樹

 

一人称単数 (文春e-book)

一人称単数 (文春e-book)

 

 

ここに書くの、久しぶり。

昨日まで、仕事たくさんしてた。それでもこの本はしっかり読んでしまった。

この短編集は、一つ一つ掘り下げると語りたくなることはいろいろあるのだが、繰り返し、「何かの意味を持たないかもしれない」と、掘り下げることの無意味さを説いている。

何が起こり、何が起こらなかったのか?

 

今、神宮球場の巨人とヤクルトの試合をテレビで観ています。

その昔、私も元カレと神宮球場を訪れ、応援団長の岡田さんと共にヤクルトを応援しました。

岡田さんを中心に、私的応援団がヤクルト側の少数派のファンを引っ張っていたのでした。

今のような着ぐるみもおらず、シンプルな応援で、なりモノも少なかったような。

東京音頭は得点シーンで歌われたものの、透明傘はずっと後のこと。

この本の中で懐かしいシーンが蘇ったのでした。

 

『ワイルドサイドをほっつき歩けーハマータウンのおっさんたち』ブレイディみか子

 

ワイルドサイドをほっつき歩け --ハマータウンのおっさんたち

ワイルドサイドをほっつき歩け --ハマータウンのおっさんたち

 

 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の本が面白かったので、二冊目を購読。

イギリスはエリザベス女王がずーーーっと君臨しているけど、政権はどんどん変わり、EU離脱の選択をしたばかり。この本を読むと、凝り固まっている「イギリス観」から少しだけ前に進むことができる。

やっぱりヒュー・グラントでしょ。とか、ハリー王子の移住の原因は何だ?とか、クイーンやエルトン・ジョンの映画を観ても、今のイギリス、しかも「おっさんたち」の日常は、どんどん進化していて、世代間、クラス間のギャップも広がるばかり。

彼女や息子の状況がこれ以上窮屈にならないことを願うばかりだ。

『パラサイト~半地下の家族』

 

パラサイト 半地下の家族(字幕版)

パラサイト 半地下の家族(字幕版)

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: Prime Video
 

 アジアの映画で初のアカデミー作品賞を獲った韓国映画

久しぶりにレディースデー価格で観るため、劇場予約を当日の0時に一番乗り。

ネタばれ禁止なので、何も予備知識がないまま鑑賞したが、大正解。

予想不能などんでん返しが続き、こわ面白いシーンの連続にぐいぐい引きづりこまれる。

登場人物に根っからの悪人はいない。それぞれの置かれた状況下を少しでも良くしたいと選び取った末の出来事だ。

WOWOWで放映されたら、必ずまた観たい。細部に見逃しているところがあれば、本当にもったいないから。

『ロケットマン』

 

ロケットマン (字幕版)

ロケットマン (字幕版)

  • 発売日: 2019/11/27
  • メディア: Prime Video
 

 エルトン・ジョンをモデルに昨年公開されたものをWOWOWで。

「ボーダー・ソング(人生の壁)」の頃から好きで、ベスト盤のLPを持っていました。

ピアノの弾き語りに憧れたものです。

ボヘミアンラプソディー』と『ラ・ラ・ランド」を観たので、既視感があったのですが、エルトンのぶっ飛んだ生涯が追体験できます。

作詞家バーニー・トーピンとの関係は、もっと深く描かれてもよかったかも。

朝ドラ「エール」みたいだし。

大きなスクリーンだったら、オモチャ箱のような色彩をもっと堪能できるのでしょう。

プールの底で歌うシーンは、謎。

買い物依存症は治らない。お金持ちは許されるのです。

『迷子のままで』天童荒太

 

迷子のままで

迷子のままで

  • 作者:天童 荒太
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: 単行本
 

 見逃せない作者の一人。評判を知ってからでもいいのにね。予約してまで購読。

2つの作品から。一つはなさぬ仲の父と子。悲しい事件も立て続けにあった。もちろん父も悲しいが、幼い母親の悲痛な叫びが記憶に強く残る。

もう一作は福島原発で除染作業にあたる人。それぞれの理由を抱え、「ご安全に」を合言葉に、危険な日々を過ごす。束の間の休息を描いた視点がやさしい。

「コロナ後の世界」も、どのように切り取ってくれるのだろう?