leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇

 

戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇

戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇

 

 図書館で予約できたので。

「桜隊」という移動演劇集団が、広島で被爆したことは知っていた。

中心人物の丸山定夫をはじめ、映画「無法松の一生」に出演した園井惠子をはじめ、団員9名が命を落とした。

「桜隊」演出家の八田元夫が残したメモが早稲田大学演劇博物館の倉庫で発見され、空白となっていた悲劇の詳細が綴られている。

演劇という「芸術活動」を続けること自体、治安維持法を振りかざした当局から目をつけられ、それをかいくぐるには、江戸時代の絵踏のような究極の妥協があり、それが戦後「戦争協力」と弾劾されたのだとしたら、生き残った八田もさぞかし辛かったことであろう。

かすかに記憶に残る名優(多々良純、原泉ら)の名前もあり、非常に読みごたえのある一冊だった。

寿 初春大歌舞伎(歌舞伎座 1月 昼の部)

箱根霊験誓仇討

勘九郎七之助が夫婦…足の悪い勘九郎が元気になったときは、ワンピースみたいだった。愛之助さんが、二役。猿之助さんが演じるはずだった役も演じたせいか、悪役とよい役。「実は…」となりそうで、何となく乗れない。秀太郎さんが老婆。葵太夫さんが義太夫

七福神

初春らしい賑やかな演目。

車引

声を張り上げて熱演。なのにちょっと眠くなる。

寺子屋

東太夫さんの義太夫猿之助さん、「リハビリがんばってこの公演に備えた」というアドリブ、初日から同じなのかな? 左團次さん、やはり貫禄があります。

人生フルーツ

年末年始に録画した映画の一つ。

愛知県の高蔵寺ニュータウンにある一軒家で暮らす老夫婦。

ニュータウンの開発に関わる夫は、切り開かれた山野を甦らせようとまず自らの家屋から希望を膨らませた。

 

風が吹けば、枯葉が落ちる。

枯葉が落ちれば、土が肥える。

土が肥えれば、果実が実る。

こつこつ、ゆっくり。

 

樹木希林のナレーションで、二人の「信条」が繰り返される。

お互いを「さん」づけで呼びあい、庭で採れた収穫物を元に、常備菜を作り、子育てをする夫妻。

丁寧で上品な暮らしの営みを垣間見た。

 

『地蔵千年、花百年』柴田翔

 

地蔵千年、花百年

地蔵千年、花百年

 

 『されど、われらが日々』で芥川賞を受賞した柴田翔の遺言ともいうべき一冊。

彼の小説には、大学紛争の影がいつもつきまとう。

この小説でも「オキシン」という謎の人物により、主人公の思いがけない行く末が語られ、海外生活での悔恨、帰国後の家族との交わりなど、モザイクのような「来し方」が描かれている。

無神論者の遺骨に対する考え方も、深く提示されている。

場所や人物を特定することのマイナスを考慮してか、××××と表記してあるところが散見されるが、読者からすると、架空の名称をつけてもよかったかも。読書の流れがちょっと止まってしまうので。

何人か出てくる異国の女性が、多様性を持っていることに好感が持てた。

彼の小説を読める「至福の時」はこれが最後になってしまうのだろうか?

スターウォーズ 最後のジェダイ

上大岡で、スターウォーズの新作を観た。

ストーリーは書けないが、ベネチオ・デル・トロが出ていたことが収穫。

善悪のはっきりしない人物で、今後、重要な役どころになるのでは?

多国籍の俳優が演じることで、「世界同時上映」らしいのかも。

武器商人が贅沢な暮らしをしているところなど、トランプ政権への批判とも受け取れる。

チューバッカ、R2D2C3POヨーダなどのキャラクターに加えて、ポーグというかわいいキャラクターも登場し、ディズニーは商売が上手いと思えてしまう。

もう一度、観てみたいものだ。

 

『騎士団長殺し』村上春樹

騎士団長殺し』を再読。

もどかしさ、まどろっこしさ、、、が充満しつつ、1部2部で約1000頁。

結局、あれもこれも何の「暗喩」だろう?

はっきりさせること、エピソードを回収することが無駄なのか。

小田原に住む日本画家というだけで、姉が師事していた故・近藤弘明先生を思い出してしまう。

村上春樹は、著書の中に、忘れられそうな史実を巧みに織り交ぜる。今回もオーストリアがドイツに吸収される「アンシュルス」、「南京事件」が取り上げられている。

読書をきっかけに、その歴史的背景、当時の若者の報われぬ思いに気持ちを馳せることだけで、本書の価値がある。

昨年のノーベル文学賞カズオ・イシグロ氏に贈られ、彼も村上春樹のことを語っていたが、私には「忘れられた巨人」よりは最後まで読み進める気持ちが勝った。

賛否が分かれる最新作ではあるが、これは中高の学校図書館には置かれるのだろうか?

際どい描写があり、書物も「R指定」が必要なのではないかと思う。

それを承知の上で手に取るかどうか、決めるのは読者なのだから。

 

母の恋バナ

新年を迎え、心機一転、文章を綴り続けることを「一年の計」に。

さて、カウントダウン花火と初日の出のために、母の住まいで新年を迎えました。

デパートからの宅配おせちを囲み、紅白歌合戦を眺めながら、母の恋バナを聴きました。

昭和32年頃でしょうか?

母は、舞鶴国立病院で看護師の資格を取り、大陸からの船に乗る帰国兵を迎え、その後、京都や大阪で看護師をしておりました。舞鶴に住む母のリウマチが酷くなったということで、舞鶴の病院に職を求め、開院間もない、舞鶴海上自衛隊病院に勤務、京都から単身赴任している院長先生に気に入られたそうです。

その院長先生、経理の独身女性とも仲良くなり、噂が立つのも平気で、二人の間を行ったりきたり。で、母と経理の女性は仲良くなってしまったとか。

その後、のちに私の父が病院の経理担当として赴任。母と結婚を前提につきあうことに。

それが院長の耳に入った途端、父は異動に。そして母も内科外来から手術室へ。

何とも狭量な院長であります。

その後、両親は結婚。舞鶴で新生活をスタート。姉と私を産み、祖母に預けながら看護師に復帰。父の異動先では、父が埼玉出身なのを「忖度」し、横須賀への異動を命じます。農家の8男として育ち、ほぼ「養子」状態と思っていた母の実家は「騙された!」。しかし、母は結局誰も知った人もいない横須賀へ。

父の埼玉の実家では、結婚の挨拶の折、「あんな細い看護師をもらって、病気になったらどうすんだべ?」と話しているのを母が聞いてしまい、「絶対病気なんかしない!」と心に決めたとか。その後も埼玉の実家に行くのを嫌がります。

父は5年前に他界。母もいつボケてくるかわからない。

そんな母からの、貴重な聞き書きです。