leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『ガタカ』

 

ガタカ (字幕版)

ガタカ (字幕版)

 

 ずっと観たいと思っていた作品。WOWOWを録画し、ようやく三連休の最終日に。

近未来に、イーサン・ホーク扮する主人公の不適正者が適正者になりすまし、宇宙飛行士にまで昇り詰める。

人工授精者は適正で、自然妊娠で生まれた子は「不適正者」という設定。

協力者は、ジュード・ロウ。なりすましって、映画『太陽がいっぱい』を思い起こさせる。

弟が主人公を追い詰める刑事というのもありがちな設定だが、沖合まで泳ぐ「チキン・レース」は、まさに命がけ。

最後に協力者が現れ、タイタン(土星)へ向かうのだが、帰還後を想像するとなかなかしんどい。

この映画が製作されたのは、もう20年も前のことだが、まったく色あせていない。

 

 

『クジラアタマ』の王様

 

クジラアタマの王様

クジラアタマの王様

 

 伊坂幸太郎の新刊。世間の評判を知る前に、予約して購読してしまう。

主人公が働くメーカーで、トラブル発生。

旧態依然の上司。振り回される部下たち。

何故か近づく地方議員。

夢で戦う主人公たち。その勝敗が現実に反映する。

ダンスグループに所属するアイドルも巻き込まれ…。

 

RPGは未体験なのだが、伊坂幸太郎の作品だけはずっと読んでいる。

これよりいいものなら体験したいが、そうでもなさそう。

本の中にあるコミック的『挿絵』。これが効果的。

文庫本になるとき、どうなっているんだろう?

 

伊坂幸太郎の作品は、兄弟だったり、男の友情だったり、女性より信じられるのは必ずといっていいほど『男性』。わかる。「バディもの」が多いせいか。

 

願わくば、書下ろしの新刊のペースが速いかも。数年じっくりリサーチして、ISのような「世界」を舞台とする後世に残る作品をぜひ。

楽天球団を彷彿とさせるのもうれしいのだが。

『三つ編み』レティシア・コロンバニ

 

三つ編み

三つ編み

 

 書評家の斉藤美奈子さんが絶賛していたので、購読。

フランスの作家で、全世界で話題になっているようだ。

インドとイタリアとカナダでそれぞれ生きる三人の女性。民族、宗教、因習、ガラスの天井、いくつもの理不尽な人生が語られ、心が押しつぶされそうになる。

ステレオ的な男性との対立ではなく、尽力する男性も登場する。

3人に共通するのは、歩みを止めないところだ。

壁を叩いて割って前進する。

作者の脚本と監督で映画にもなる。

以前知り合ったインドの研究者カップルは、ダンナ様のカーストが低いことを気にされていた。事情を知らない日本人の私にも語るので、記憶に強く残っている。

本書に出てくるインドの母子はその後、幸せに暮らせたのだろうか?

夫は母子を追いかけてはこなかったのだろうか?

ピンクリボン運動に携わる方々にもぜひ一読を勧めたい。

 

三谷かぶき

6月歌舞伎座 夜の部『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち

三谷幸喜の歌舞伎作品、2006年にパルコ劇場で上演された「決闘!高田馬場」の生中継をWOWOWで観ていた。東太夫さんが、リングアナ(相撲審判?)に扮する演出もあり。その時の主役、幸四郎さんと猿之助さんが中心となり、愛之助さんと三つ巴のメインキャスト。そして、白鴎さん、染之助さんの高麗屋3代、八島智人さんのインパクト、尾上松也さんのお客さんとの掛け合い、見どころ満載でした。

ストーリーは、伊勢から江戸へ船出した商船が難破し、ロシアへ漂着。

史実は、こちらに詳しく、大黒屋光太夫さんの稀有な体験が語られる。

http://blog.livedoor.jp/kzfj0409/archives/47300583.html

俊寛」を彷彿とさせる場面の数々。

事前の宣伝写真から、「もしかして全編洋装?」と思ったのですが、2幕目までほぼ船の乗組員の衣裳。3幕目の猿之助さん扮するエカテリーナ女王の衣裳はまばゆい。

猿之助さんは、「決闘!高田馬場」にも出演していたが、「NINAGAWA十二夜」で演じた麻阿の役で贔屓の一人に。澤瀉屋を率いて「ワンピース」などの成功を続けているが、三谷歌舞伎にはずっと出演してほしい。

犬ぞりの登場シーンは圧巻。研修生さんたちが健闘されていらっしゃるのかと。

揃うところは揃う。それでも個性を放っているところはユニーク。

週末の切符は既に売り切れ。新作歌舞伎として、名を残すことでしょう。

村田喜代子『飛族』

 

飛族

飛族

 

 芥川賞作家であり、新刊の書評でもいくつか取り上げられていた本書だが、図書館で予約したら、難なく借りられた。

日本最西端を思わせる島に、老女が二人残された。

その一人の娘は、大分に嫁いでいるが、母親が気になり、逗留している。

二人の島民のライフライン確保のために、公務員が膨大な税金をかけ続けている。

何もない島の暮らしに、公務員は刺激をもたらす。

タイトルの「飛族」というのは、その島の言い伝えで、鳥の羽ばたく真似をしていると、いつか鳥になって自由に空を舞えるのだと。

その日を夢見て、二人は踊るように羽ばたく。

ここはユートピアではないが、終の棲家でもなく、次の「生」への中継基地なのだ。

 

『マジカルグランマ』柚木麻子

 

マジカルグランマ

マジカルグランマ

 

 定期購読している週刊朝日に連載されていたものだが、どうも新聞や週刊誌の小説を読む習慣がなく、今回も単行本になってから購読。

筆者の描く女性は、理想像でもなくすべて共感できるわけでもなく、まるで「イヤミス」の登場人物のようだが、読み進めるうちに、「自分にもこういうところがあるかもしれない」と気づかさせてくれる。「まいったな」という思いと共に。

知人の夫もこの主人公のように、家庭内別居をしており、自宅の敷地内で経営しているアパートの一室で死んでいたのに気づかなかった。先日会ったときも、聴いてみたかったが、そのことに関してはタブーのようで、触れることができなかった。

そして、杏奈のように、自分の思いだけが突っ走る勘違い人間も増えてきている。

でも、この本の特筆すべき点は、疎まれるはずの者がコミュニティの中に取り込まれ、役割を見出すところにある。主人公自身が、何度くじけても立ち上がるのだが。

高齢者を描いている小説でも、「理想のおばあちゃん(=マジカルグランマ)」からは突き抜けている。70代だとまだまだこういう感性もあるのか。

母の感想を聴いてみたい。早く読ませよう。

『シーソーモンスター』伊坂幸太郎

 

シーソーモンスター (単行本)

シーソーモンスター (単行本)

 

 伊坂幸太郎の新作。2篇の小説が筆者らしい「疾走感」を奏でながら描かれている。

1作目「シーソーモンスター」は、嫁姑の争いなのだが、この嫁姑、タダものではない。だからこそ、お互い疑心暗鬼に囚われ、泥沼にはまり込む。

2作目「スピンモンスター」、実は、なかなか読み進められなかった。なぜなら、幼くして交通事故で家族を失うという設定に、辛いものがあったから。

しかもAIの自動運転が引き起こす悲劇ゆえ、いつもの「伊坂幸太郎ワールド」に浸ることができにくかった。それでも数日後にはガンガン読み進められたのだが。

結末は、一読だけで理解するのは難しい。何度も味わって、ようやく作品の「滋味」に触れることができる。