leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『地蔵千年、花百年』柴田翔

 

地蔵千年、花百年

地蔵千年、花百年

 

 『されど、われらが日々』で芥川賞を受賞した柴田翔の遺言ともいうべき一冊。

彼の小説には、大学紛争の影がいつもつきまとう。

この小説でも「オキシン」という謎の人物により、主人公の思いがけない行く末が語られ、海外生活での悔恨、帰国後の家族との交わりなど、モザイクのような「来し方」が描かれている。

無神論者の遺骨に対する考え方も、深く提示されている。

場所や人物を特定することのマイナスを考慮してか、××××と表記してあるところが散見されるが、読者からすると、架空の名称をつけてもよかったかも。読書の流れがちょっと止まってしまうので。

何人か出てくる異国の女性が、多様性を持っていることに好感が持てた。

彼の小説を読める「至福の時」はこれが最後になってしまうのだろうか?

スターウォーズ 最後のジェダイ

上大岡で、スターウォーズの新作を観た。

ストーリーは書けないが、ベネチオ・デル・トロが出ていたことが収穫。

善悪のはっきりしない人物で、今後、重要な役どころになるのでは?

多国籍の俳優が演じることで、「世界同時上映」らしいのかも。

武器商人が贅沢な暮らしをしているところなど、トランプ政権への批判とも受け取れる。

チューバッカ、R2D2C3POヨーダなどのキャラクターに加えて、ポーグというかわいいキャラクターも登場し、ディズニーは商売が上手いと思えてしまう。

もう一度、観てみたいものだ。

 

『騎士団長殺し』村上春樹

騎士団長殺し』を再読。

もどかしさ、まどろっこしさ、、、が充満しつつ、1部2部で約1000頁。

結局、あれもこれも何の「暗喩」だろう?

はっきりさせること、エピソードを回収することが無駄なのか。

小田原に住む日本画家というだけで、姉が師事していた故・近藤弘明先生を思い出してしまう。

村上春樹は、著書の中に、忘れられそうな史実を巧みに織り交ぜる。今回もオーストリアがドイツに吸収される「アンシュルス」、「南京事件」が取り上げられている。

読書をきっかけに、その歴史的背景、当時の若者の報われぬ思いに気持ちを馳せることだけで、本書の価値がある。

昨年のノーベル文学賞カズオ・イシグロ氏に贈られ、彼も村上春樹のことを語っていたが、私には「忘れられた巨人」よりは最後まで読み進める気持ちが勝った。

賛否が分かれる最新作ではあるが、これは中高の学校図書館には置かれるのだろうか?

際どい描写があり、書物も「R指定」が必要なのではないかと思う。

それを承知の上で手に取るかどうか、決めるのは読者なのだから。

 

母の恋バナ

新年を迎え、心機一転、文章を綴り続けることを「一年の計」に。

さて、カウントダウン花火と初日の出のために、母の住まいで新年を迎えました。

デパートからの宅配おせちを囲み、紅白歌合戦を眺めながら、母の恋バナを聴きました。

昭和32年頃でしょうか?

母は、舞鶴国立病院で看護師の資格を取り、大陸からの船に乗る帰国兵を迎え、その後、京都や大阪で看護師をしておりました。舞鶴に住む母のリウマチが酷くなったということで、舞鶴の病院に職を求め、開院間もない、舞鶴海上自衛隊病院に勤務、京都から単身赴任している院長先生に気に入られたそうです。

その院長先生、経理の独身女性とも仲良くなり、噂が立つのも平気で、二人の間を行ったりきたり。で、母と経理の女性は仲良くなってしまったとか。

その後、のちに私の父が病院の経理担当として赴任。母と結婚を前提につきあうことに。

それが院長の耳に入った途端、父は異動に。そして母も内科外来から手術室へ。

何とも狭量な院長であります。

その後、両親は結婚。舞鶴で新生活をスタート。姉と私を産み、祖母に預けながら看護師に復帰。父の異動先では、父が埼玉出身なのを「忖度」し、横須賀への異動を命じます。農家の8男として育ち、ほぼ「養子」状態と思っていた母の実家は「騙された!」。しかし、母は結局誰も知った人もいない横須賀へ。

父の埼玉の実家では、結婚の挨拶の折、「あんな細い看護師をもらって、病気になったらどうすんだべ?」と話しているのを母が聞いてしまい、「絶対病気なんかしない!」と心に決めたとか。その後も埼玉の実家に行くのを嫌がります。

父は5年前に他界。母もいつボケてくるかわからない。

そんな母からの、貴重な聞き書きです。

立川談春 新春独演会

立川談春さんの落語を聴きに品川へ。
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ちはるさん(小噺)とこはるさん(雛鍔)という弟子が前座を務める。
亡き談志師匠が、こはるさんを「女だったのか!」と驚かれた数年後、そのことをすっかり忘れて「ぼーや!」と呼んでいたエピソード。この話をこのあとに出てきた談春さんが「こうすればもっとウケるのに」といじる。人に話をうまく伝える方法は永遠の課題。
 
談春さんのマクラは、立川流一門の新年会で、亡き談志師匠のおかみさんがご挨拶をした話。これも本人の意図を違えて、お弟子さんを励ますつもりが、一同暗ーくなってしまったとか。
 
厩火事
孔子さまや、さる殿さまの例え話が出てまいります。
 
「居残り」とか、「佐平次」という基礎知識を伝授した上で、本編を披露。
伝統芸能を承継する者の宿命か。
大河ドラマでの春風亭昇太さんのような顔」とかキムタクのドラマでのセリフを取り上げたり、当日のお客様へのサービス精神はピカイチ。
 
談志師匠の「居残り佐平次」をWOWOWで録ったので予習しようかと思いましたが、やはり「次はどうなる?」とワクワクしながら見たいと思い、あえて録画を消してしまいました。
やはり「居残り」から佐平次の「居座り」「居直り」ぶりが面白かった。
 
談春さん、日本一チケットが取りにくい落語家として有名ですが、固定ファンを大切にする売り方をしているようです。一般発売の前に、事務所からメールで登録した方に事前販売の案内が来ます。
幼馴染の妹さんがずっと行きたかったそうで、そんなからくりをお教えしました。
ドラマ出演も増えた談春さん。でも、今回の独演会も約3時間たっぷりと。伺えて幸せ。

 

 

サラバ!

 作者を初めて知ったのは、Eテレのスイッチインタビューで、椎名林檎と対談していたのを観たとき。その後、直木賞を本作で受賞し、再放送が2度もあったのですが。

 

その風貌も、関西弁をエネルギッシュに話す姿も、ワクワク感全開で、アマゾンにポチっと。

 

主人公の成長譚。その家族を交えて、地球的スケールで。

でもエピソード一つ一つは、世界中の家族が抱える問題と変わりなく、人はこんなにも変わることができる。

 

アイザックがイサクの英語読みだということ、ニーナ・シモンの歌声、いろいろなことを教えてくれた。

 

心が細りそうになるとき、これを読んで「サラバ!」と叫んでみることにしよう!

サラバ! 上

サラバ! 上

 
サラバ! 下

サラバ! 下

 

 

キャプテンサンダーボルト

年末年始に購入した本をもう読んでしまった!

 

さまざまな事情が交錯して、「にっちもサッチモ」状態からいかに脱出するかというストーリー。

登場するエピソードの元ネタを考えるにつき、時事ネタ満載なので、「イキのよい」うちに読み終えられてよかったかも。

二人とも小さなお子さんのパパなのでしょう。予防接種の描写など、切迫していました。

500ページ以上もあるのですが、RPGゲームを進めている気分で、伊坂ワールドに入り込めます。

阿部和重さんとの共作ですが、シームレス。

キャプテンサンダーボルト

キャプテンサンダーボルト