沼田まほかるさんの2作目。
久方ぶりの単行本だったせいか、読み始めたときは、人間関係が頭にすんなり入ってこなかった。
特に、男性の名前が何人も出てきたときに、始めから数回読みなおした。
でも、その人間関係が理解できた頃には、この本に取りつかれていた。
主人公十和子が「どぜう」と罵倒する陣治、よい思い出だけが蘇る黒崎、そして水島とも出会い、抜き差しならない関係に。
黒崎も水島も妻子がおり、十和子は陣治とも離れられない。
そんなタコ壺状態が、殺人の疑いを胸に抱きつつ、描かれる。
宮部みゆきさんは、きっとここまで描けないかも。だからこそ、評価していたのだと思える。
誰でもはまるかもしれない陥穽。
沼田まほかるさんは、マスコミになかなか姿を顕わさない。このままでいてください。
- 作者: 沼田まほかる
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/10
- メディア: 単行本
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