関東大震災の前後に発表された、竹久夢二の小説『岬』と、震災の都心の様子を描いたレポートが単行本にまとまり、新刊として発行されたものを、図書館で予約。
『岬』は、主人公 葉山が、上京したばかりの少女を、裸婦のモデルとして時間を過ごすうちに情が通い、度重なる波乱の末、結末に至るまでが描かれている。
当時の女性の描かれ方が時代を感じさせる。
何より、少女の心情描写が、夢二の「こうであってほしい」というフィルターを通してのもの。儚い。
小説家としては、大成しなかったのかもしれない。
解説に、震災前後で、作品の辻褄があわない点も指摘されている。
連載作品なので、ある意味、ニュース性を帯びているとも言える。