leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『巡礼の家』天童荒太

 

巡礼の家

巡礼の家

 

 毎回、心を揺さぶられる天童荒太の新刊。

「人を殺してしまった」と絶望する娘に「あなたには、帰る場所がありますか」と手を差し伸べ、様々な人との関わりの中で、「このままいてもいいんだ」と思える場所を獲得していくまでのストーリー。

学校に十分通えなかったこともあり、クスっとなるような聞き間違いや思い込みが繰り返されるのだが、「加藤茶」を知っているなんて、まるで「チコちゃん」。

道後温泉の温かさ、「さぎのや」に集う人々が持つエピソードのそれぞれが、次々と舞台に出てくるショートストーリーの主人公のよう。

筆者の故郷を描いたことがあとがきに書かれ、一層の思い入れを感じ取った。

時々、本を貸す職場の友人に「どっぷりのラブストーリーとほのぼの系のどちらがいい?」と聴き「ほのぼの系」と返事があったので、迷わずこの本を貸すことにした。