芥川賞作家であり、新刊の書評でもいくつか取り上げられていた本書だが、図書館で予約したら、難なく借りられた。
日本最西端を思わせる島に、老女が二人残された。
その一人の娘は、大分に嫁いでいるが、母親が気になり、逗留している。
二人の島民のライフライン確保のために、公務員が膨大な税金をかけ続けている。
何もない島の暮らしに、公務員は刺激をもたらす。
タイトルの「飛族」というのは、その島の言い伝えで、鳥の羽ばたく真似をしていると、いつか鳥になって自由に空を舞えるのだと。
その日を夢見て、二人は踊るように羽ばたく。
ここはユートピアではないが、終の棲家でもなく、次の「生」への中継基地なのだ。