leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『約束された場所で』村上春樹

 

約束された場所で (underground2)

約束された場所で (underground2)

 

 オウム真理教による地下鉄サリン事件で、死刑を執行された7名の報を受け、教団側のインタビューをまとめたこの本を入手して、改めて考えてみた。

何らかの方法で、不規則発言を繰り返す松本智津夫に、検察と司法が真相究明のために語らせる方策を取って欲しかった。遺骨を4女に託した死刑囚は、相応の思考力、判断力を持ち合わせていたと思われ、家族に対する思いもできるだけ語らせて記録に残すべきだった。

そして、彼の死刑を執行してから、他の6名の死刑囚にその事実を告げ、現在の心情を語らせ、それもすべて公開すべきだったのではないか。

本書を読んで、自己を持ち続けることの生きづらさとひきかえに、上からの命令に服従することの平穏がオウム信者にみられたが、それは官僚、会社、軍、学校、どの組織でも多かれ少なかれ存在することではないか。そこから自己を遠ざけるには、ひきこもるか、独自の功績を挙げるかないのかもしれない。
物静かな人こそ、確固とした自分を持っている人と思えてしまう。