『騎士団長殺し』を再読。
もどかしさ、まどろっこしさ、、、が充満しつつ、1部2部で約1000頁。
結局、あれもこれも何の「暗喩」だろう?
はっきりさせること、エピソードを回収することが無駄なのか。
小田原に住む日本画家というだけで、姉が師事していた故・近藤孔明先生を思い出してしまう。
村上春樹は、著書の中に、忘れられそうな史実を巧みに織り交ぜる。今回もオーストリアがドイツに吸収される「アンシュルス」、「南京事件」が取り上げられている。
読書をきっかけに、その歴史的背景、当時の若者の報われぬ思いに気持ちを馳せることだけで、本書の価値がある。
昨年のノーベル文学賞がカズオ・イシグロ氏に贈られ、彼も村上春樹のことを語っていたが、私には「忘れられた巨人」よりは最後まで読み進める気持ちが勝った。
賛否が分かれる最新作ではあるが、これは中高の学校図書館には置かれるのだろうか?
際どい描写があり、書物も「R指定」が必要なのではないかと思う。
それを承知の上で手に取るかどうか、決めるのは読者なのだから。