母と昼食後、話をしていると、「若い頃、火の玉を観た」と言いだした。
看護師として勤務していた夜勤明け、何気なく寮の部屋の窓から病院を観ていると、何やら慌ただしい気配。患者が亡くなったのかもしれない。
と思っていると、ヨーヨーのような火の玉が、病院の上空をいくつも舞い上がり、それはそれは美しい花火のような光景だったそうだ。
それは途中で消えることなく、天空に吸いこまれていった。
病院側では、それに気づく人もいなかったそうで、母にだけ見届けられた。
患者が亡くなるときに毎回見えるわけでもないそうだが、他の看護師と話すと「私も火の玉を観たことがある」ということも。
母の言葉は、これからも折に触れ、書き留めていきたい。