- 作者: 江刺昭子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/05/27
- メディア: 単行本
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1960年、私が生まれて11日後に、樺美智子はこの世を去った。
まっすぐに「みんなのため」に奔走し、命を落とした。
教授の娘という恵まれた家庭の一人娘。浪人し、入った予備校が合わないと、2学期から駿台予備校に入り直し、東大第2文学部に入り、日本史を専攻した。
東大に入ると活動を始め、ガリ切り、オルグなど、裏方を黙々と引き受け、指導者に立候補しても落選するという憂き目にも耐えた。
彼女は「共産党には入党していない」と母に告げた。その時点ですでに、「ブント(ドイツ語で同盟の意)」に踏み入れていたのを黙って。
故郷の友人に日記がわりに手紙を書き、母と腕を組んで買い物に行く一面もあった。
彼女の死因は判然としていない。しかし「彼女の死」という事実そのものが、当時の学生運動を「浄化」させた。