- 作者: 水村節子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/09/21
- メディア: 文庫
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娘の水村美苗さんの講演会で、買い求めた一冊。
70代に小説修業を始め、娘のアドバイスを受けながら、この一冊を書きあげて亡くなった。
何しろ、記憶力がずば抜けている。
自分の父親と母親を巡る「血族」は、多くの人間関係が込み入り、話が脱線することもしばしばだが、書いておかずにはいられない人々なのである。
横浜、大阪などの「土地柄」は、人々の会話で一層際立つ。
花札、梅毒などのはびこる「下層」からグランドピアノが置かれた「上流」の暮らし。
主人公の上昇志向を、誰が責められよう。
母親を反面教師として、父親への思慕を胸に、吉屋信子のストーリーを具現化したらこうなりそうな。
早速母に、読むのを勧めました。「きっと懐かしく思えるから」。