leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

高台にある家

高台にある家 (中公文庫)

高台にある家 (中公文庫)

娘の水村美苗さんの講演会で、買い求めた一冊。

 

70代に小説修業を始め、娘のアドバイスを受けながら、この一冊を書きあげて亡くなった。

何しろ、記憶力がずば抜けている。

自分の父親と母親を巡る「血族」は、多くの人間関係が込み入り、話が脱線することもしばしばだが、書いておかずにはいられない人々なのである。

横浜、大阪などの「土地柄」は、人々の会話で一層際立つ。

花札、梅毒などのはびこる「下層」からグランドピアノが置かれた「上流」の暮らし。

主人公の上昇志向を、誰が責められよう。

母親を反面教師として、父親への思慕を胸に、吉屋信子のストーリーを具現化したらこうなりそうな。

早速母に、読むのを勧めました。「きっと懐かしく思えるから」。