横須賀美術館で、1975年~2011年の終刊まで雑誌『ぴあ』の表紙を担当していた及川正通氏による『ぴあ』の表紙を中心に、展示。
1939年大連生まれの及川氏は、1955年16歳で、さいか屋デパート宣伝部に入り、ポスター、チラシ、包装紙などを担当。
特に、展示されていたクリスマス用包装紙は、ブルー地に、天使、ブーツ、ひいらぎをグレーであしらったもので、まったく古臭くない。
友人に頼まれた防衛大学校のポスターも、子どもが制帽を目深に被った、抱きしめたくなるような作品。こんなかわいいポスター、観たことがない。
souls of negloとタイトルがつけられた、日宣美入選作品は、手書き文字で腱鞘炎になったほどの労作で、ブルースが聴こえてくるような作品。
劇画「美しき青春」は、ボーイズラブの走り。甲子園予選で勝利を得たバッテリーが、抱き合う…のではなく、唇同士を…。1970年代に描かれていた。
1974年のサンタナのコンサートポスターも欲しくなった。
1975年、ひと晩で仕上げたジーン・ハックマンの「フレンチ・コネクション2」で、『ぴあ』の表紙イラストがスタートする。当初月刊で、後に隔週に。
バルセロナ五輪の際は、選手を描いてはいけなかったそうで、それなら。と、後ろ向きの柔ちゃんを描き、ガウディの塔を眺める図にしていた。
スピルバーグシリーズ、広末涼子シリーズ、サザンオールスターズシリーズ、ジョニーデップシリーズも壮観。
2011年4月に発表された岡本太郎の表紙イラストは、描いた直後に大震災があり、本当に「芸術は爆発」してしまったから驚いたそうだ。
と、一枚一枚、丁寧に、筆者のエピソードが添えてあるので、それを読むのも楽しいし、必ずどこかにひそませてあるスマイルマークを探すのも、来館していた小学生たちには楽しかったようだ。
(そうだな。親の世代じゃないと、このおもしろさはわかるまい。)
新作の「YOKOSUKA」は、現実の地名とリンクしているドリームMAPになっていて、ローマ字で、個人的な思い出を吐露している。
帰りに美術館のショップで、図録は3600円もしたので、『ぴあ』の最終号を680円で購入(上の写真左)。創刊号復刻版もついて、表紙の縮小版もたくさんついて、大満足。