leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

オー!ファーザー

オー!ファーザー

オー!ファーザー


伊坂幸太郎の新刊。買ってしまいました!
数日「読みたいな…」と横目で睨みつつ、ようやく時間の取れた昨日、一日で読了。
主人公の高校生由紀夫くんには、4人の父と一人の母親がいます。
4人の父親と母親は、由紀夫くんが生まれるのをきっかけに結婚式を挙げ、同居が始まりました。
「どんだけ魅力のある母親なんだろう?」と個人的な疑問はそのままに、母親の出張中、由紀夫くんは、事件に巻き込まれます。
4人も父親がいるのですから、それぞれの個性を生かして、あらゆる場面で、由紀夫くんをフォローします。
女好きの葵さんは「寂しげな顔をしている人がいると、元気付けたくなるんだ。元気付けるには、相手のいいところを誉めてやるのが一番だ」。
賭け事好きの鷹さんは「大人の役割は、生意気なガキの前に立ち塞がることなんだよ。煩わしいくらいに、進路を邪魔することなんだよ」。
ガタイの良い教師の勲さんは、バスケットと格闘技を指南し、大学教授の悟さんは、理知的に由紀夫くんを導きます。
こんな「強力タッグ」の4人の父親を少々疎ましく思う由紀夫くん。
「彼女じゃない」と由紀夫くんがいいはる多恵子ちゃんや、「殿様」というあだ名の同級生も魅力的です。
富田林さん、牛蒡男、鱒二と、脇役のキャラも際立っています。
NHK教育テレビで放映されている、「三銃士」とも通じるところがあります。
天童荒太さんのストーリーとは対極にあるような、軽やかな幸福感を残します。