桐野夏生さんの新刊ですので、購読。
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/02/26
- メディア: 単行本
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久々に面白かったかな。
林芙美子さんの裏面史。
太平洋戦争前期の1942年10月から翌年5月まで、報道班員として仏印・シンガポール・ジャワ・ボルネオに滞在した折に、彼女に何があったのか。
Wikipediaによると、「1943年に新生児を貰い受けて養子にした泰は、1959年、事故死した」とあるので、どこまで虚実織り交ぜているのか、興味深い。
題名の「ナニカアル」とは、南方にはきっと「ナニカアル」という物書きとしての臭い、あの二人には「ナニカアル」というスキャンダラスな側面、誰がスパイなのかどうか疑わしく、誰も信用できなくなる思いの「ナニカアル」。これらすべてなのだな〜と改めて感心させられます。
偶然、森光子さんの舞台「放浪記」がもう観られなくなりそうですが、この「ナニカアル」のイメージを持つと、「放浪記」はきっと美しく描かれているのだろうな。と思われ、リアルに近い林芙美子像でいいかな。