leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

学問

学問

学問


山田詠美の新刊。
タイトルで「山田詠美が宗旨変え?」と思ったアナタ、やっぱり山田詠美ですよ。期待を裏切るはずないじゃないですか〜!
7歳に、父親の転勤で社宅に引っ越してきた主人公の仁美を中心に、4人の少年少女が、時を重ねるごとに、オトナへの階段を上るが如く、決して学校では教えてくれない「学問」を身に着けていく。
親も教師も、時には「反面教師」となり、4人の友情以上の親交が描かれる。
特に面白かったのは、医者の息子無量(ムリョ)と素子の関係。
素子は「ムリョのお嫁さんになる」と宣言して、ムリョだけにはいい顔を見せるが、その下心に気づく仲間たちは、ムリョの一族が素子に食い尽くされるのを知りつつ、「彼女もあそこまで頑張っているんだから」と、観てみぬふりをする。
4人の間に、安易に恋愛感情が芽生えないのが、絆の深さ、価値の高さを保っているところ。
各章の導入は、4人の死亡記事となっている。4人の末路は、こうなんだよ。と提示されているところもおもしろい。
心太(テン)の行く末は、もっと大物になったら、スカッとしただろうなあ。