leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

猫を抱いて象と泳ぐ

小川洋子さんの新作。

猫を抱いて象と泳ぐ

猫を抱いて象と泳ぐ


大きくなることを拒んだ少年が、チェスの美しさに触れ、チェスで身を立てる。
ギュンター・グラスの『ブリキの太鼓』に状況は似ているのだが、異型の少年の眼を通して、語られるストーリーは、どこか透き通っている。
師であるマスターの晩年の暮らしと死、老婆令嬢からの援助、ミイラとの淡い恋の結末、強敵との戦い。
チェスのゲームに疎い読者(私を含めて)にも、静けさ、思慮深さが伝わる。
チェスと言えば、コンピュータがチャンピオンに勝つという報道がなされ、チェスのチャンピオンが、席を立つニュース映像が、記憶に残っている。
碁や将棋では、まだ、人間が優勢なのだが。
しかし、チェスの駒がキング、クイーンをはじめ全て擬人化され、性格付けもなされている。
小説の舞台となりやすいのは、やはり、チェスなのであろう。
別の意味で、ダイエット中の方には、必読かもしれません(^_^)v。