小川洋子さんの新作。
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/01/09
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 90回
- この商品を含むブログ (209件) を見る
大きくなることを拒んだ少年が、チェスの美しさに触れ、チェスで身を立てる。
ギュンター・グラスの『ブリキの太鼓』に状況は似ているのだが、異型の少年の眼を通して、語られるストーリーは、どこか透き通っている。
師であるマスターの晩年の暮らしと死、老婆令嬢からの援助、ミイラとの淡い恋の結末、強敵との戦い。
チェスのゲームに疎い読者(私を含めて)にも、静けさ、思慮深さが伝わる。
チェスと言えば、コンピュータがチャンピオンに勝つという報道がなされ、チェスのチャンピオンが、席を立つニュース映像が、記憶に残っている。
碁や将棋では、まだ、人間が優勢なのだが。
しかし、チェスの駒がキング、クイーンをはじめ全て擬人化され、性格付けもなされている。
小説の舞台となりやすいのは、やはり、チェスなのであろう。
別の意味で、ダイエット中の方には、必読かもしれません(^_^)v。