leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

オリンピックの身代金

オリンピックの身代金

オリンピックの身代金


奥田英朗さんの新作。どうしても読みたい!と思いつつ、図書館で予約。
数日は、読みすすめられなかったものの、休日に、一気に読破。
舞台は昭和39年、東京オリンピック建設中の東京。
秋田の貧農から出稼ぎに来ている兄が急死したとの報せを受け取った東大院生。
兄の暮らしを垣間見るうちに、のうのうとこのまま学究生活を続けていいかと自問した主人公。
兄の弔いの気持ちからか、飯場生活のひと夏の体験を思いつく。
体験すればするほど、ヒエラルキーの凄絶さが身に沁み、身分の彼我を体感。
一日で音をあげそうになった日雇いの仕事も、筋肉と日焼けの量と比例して身に付き、スリ、ヒロポン、賭け事、男色と、知らなかった世界が展開される。
ふとしたことから、「革命」を起こすことになる。
オリンピックを無事開催したいなら、身代金8000万円を用意しろと。
公安と刑事機構の綱引き、一族の恥と言われるテレビマンの身の処し方。
オリンピックは、果たして無事に開催されるのか。
上下2段組にびっくりしますが、あっという間でした。
筆者は、自身が財テクトラブルに見舞われているとのこと。
この印税で、少しでも取り返してもらって、2度と、うまい話に乗らないようにしてほしいものです。
次作はその顛末なのかな〜。