leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

東京島

桐野夏生の新作「東京島」。
日曜に厚木で購入し、虎ノ門への移動時と、雨の今日、読了。
世界一周のクルーズに出かけた脱サラ夫婦と、与那国島での過酷な労働に耐えかねた脱出組み、中国やフィリピンからの漂流者などが、「東京島」と名づけられた孤島で、サバイバルの日を過ごす。
唯一の女性、清子の振る舞いが哀れで身をつまされる思い。
大切に扱われるときはそれに甘んじ、危険を察知すれば「女性の武器」を最大限に発揮し、妊婦となれば「母性」を見せる。
究極の集団社会の変容。
連合赤軍を想起させるネーミングや記録手段としての「紙」の重要性。
廃棄物の投与も重要な場面展開の要素。
そもそも清子と夫のディスコミュニケーションがもたらしたこのトラブル。
見知らぬ孤島での出来事が、結局「東京島」とネーミングされるように「すぐそこにある危機」に思えるところが、筆者の筆力。