leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

『君が異端だった頃』島田雅彦

 

君が異端だった頃

君が異端だった頃

 

 同世代とは知っていたものの、同学年とは知らず。

著者の半自伝です。「君」は「ボク」と脳内で変換しましょう。

芥川賞を獲っていたと今まで勘違いしていました。

獲っていないが故の、恨みつらみの数々。

「文壇」というコミュニティが存在した頃の「文豪」との接点も語られている。

著者の代表作って、残念ながら思い浮かばないのですが、村上春樹を意識していたというのも意外。同年代なので、避けて通れない存在なのかも。

ニーナとの二重生活には無理があるな。「モテるんだから、これくらい許容」。と思いこもうとしていた節がある。

図書館で予約の順番が回ってきたので。

命日にちなみ、ジョン・レノンの「スターティング・オーバー」を聴きながらこれを書きました。

 

『おしゃれ嫌い』米澤泉

 

 ユニクロ、愛用しています。

素敵な装いで、いいものを身につけたいと思いつつ、ユニクロで十分。と思う自分がいます。

ファッション雑誌は、年相応のものを手に取ると、桁違いの品と広告に圧倒され、美容室でしか目にしなくなり、ライフスタイル雑誌を時折購入する程度。

そんな自分を改めて顧みようと、本書を図書館で予約。ようやく。

エシカル」「グランピング」という流行語がようやく理解できたことが収穫。

私も一層の断捨離を迫られているところです。最低限のおしゃれに徹します。

『平場の月』朝倉かすみ

 

平場の月

平場の月

 

 新聞広告や書評で、同世代(50代)の恋愛描写が高い評価を得ていたので、ポチっと購読。

熊谷に住んでいたとき、コミュニティの狭さを実感したが、本書も、小学校、中学校の卒業生が、何となく歳を重ねるか、戻ってきてしまう土地柄。

この二人も、中学生の初恋の思い出を胸に、それぞれの結婚生活を経験後、この土地に舞い戻り、再会を果たす。

例外なく、悪意のない「かきまぜ役」がここにもいて、気づけば二人。

ここから想定外の展開が待ち受けるのだが、共感できたのは、相手を気遣って躊躇いがちに発した言葉が、相手をさらに気遣い、思ってもいなかった行動を女性にとらせてしまったこと。

数少ない発言やサインを、ストレートには受け取れないのだな。

「含蓄」深い、恋愛模様であります。

『臨床真理』柚月裕子

 

臨床真理 (角川文庫)

臨床真理 (角川文庫)

 

 『盤上の向日葵』の作者のデビュー作が文庫版になり、あちこちで宣伝されていたので、ポチっと購読。

途中から「きっとこの人が犯人」と思えた人が、真犯人ではなかったことが、よい意味での腕の良さなんだろうな。

しかも主人公の理解者を装う。あざといなぁ。

最近、この手のニュースも見聞きし、現実にも起こりうる話。

私が読む前に、他に読む本がたくさんあったので、母に先に読んでもらったが、少々母にはヘビーだったかも。パソコンやUSB、パスワードなど、難しかったかと。

共感覚」への理解不足がカギになっていたが、医療関係者だったら、もう少しあるはず。

だって、「ググればでてくる」のだから。

『巡礼の家』天童荒太

 

巡礼の家

巡礼の家

 

 毎回、心を揺さぶられる天童荒太の新刊。

「人を殺してしまった」と絶望する娘に「あなたには、帰る場所がありますか」と手を差し伸べ、様々な人との関わりの中で、「このままいてもいいんだ」と思える場所を獲得していくまでのストーリー。

学校に十分通えなかったこともあり、クスっとなるような聞き間違いや思い込みが繰り返されるのだが、「加藤茶」を知っているなんて、まるで「チコちゃん」。

道後温泉の温かさ、「さぎのや」に集う人々が持つエピソードのそれぞれが、次々と舞台に出てくるショートストーリーの主人公のよう。

筆者の故郷を描いたことがあとがきに書かれ、一層の思い入れを感じ取った。

時々、本を貸す職場の友人に「どっぷりのラブストーリーとほのぼの系のどちらがいい?」と聴き「ほのぼの系」と返事があったので、迷わずこの本を貸すことにした。

向田邦子『伯爵のお気に入り』

 

伯爵のお気に入り: 女を描くエッセイ傑作選
 

 エッセイ傑作選が図書館で借りられたので。

亡き筆者のエッセイを、河出書房新社実妹の和子さんと協力して、新刊に。

道理で「どこかで見た文章だな」と既視感満載。

「夜中の薔薇」とか。既に何回か、文庫本にも所収されている。

口紅やストッキングを急に借りる女性は、今、いるのだろうか。今なら「コンビニに行ってください」だよな。

1981年に飛行機事故で亡くならなければ、彼女の筆によるテレビの裏側とか、男社会との軋轢とか、橋田寿賀子についてとか、読んでみたかったな~。

樹木希林さんのことを「悠木千帆さん」名義で語っているので、歳月を感じてしまう。

一人で生きる「矜持」というものをお持ちの方でした。

『マチネの終わりに』平野啓一郎

 

マチネの終わりに (文春文庫)

マチネの終わりに (文春文庫)

 

 本書をようやく読了。

実は、kindle期間限定無料版を入手しておきながら、読む時期を逸してしまい、映画公開を来月に控えた今、文庫版をようやく手にとったのでした。

数ページ進めたところで、芥川比呂氏の『音楽の基礎』に言及があり、関内のディスクユニオンで、この中古本を購読していたので、妙に嬉しい。

先を読みたくもあり、慈しみながら、読み進めたくもなく、できれば、主人公の奏でるギターの音楽も聴いてみたかった。

福田進一さんが「マチネの終わりに」というCDを発売しており、Spotifyで聴けるようだ。メディアミックスのありがたさ。

福山雅治さんと石田ゆり子さんが演じる主人公。映画は別物と思い、映画館ではなく、いずれまたテレビでの放映を待つことになろう。

周りの人にも貸して感想を聴きたくなる一冊。