まだ読んでいなかった、奥田英朗の本。
ローカルな土地で「無理」なことを次から次へとせざるを得なくなり、もがき苦しむ登場人物たち。
一つ間違えれば、誰でもこの無理な状況にたちまち踏み込むことになる。
そこに踏み込まないでいられるのは、心の底にとっておく「矜持」や「プライド」。
結末は?だが、こういう結末しかなかったのかも。
不完全な自分を自覚しつつ、それでも踏みとどまる「強さ」を鍛えることに怠らないでいたい。
ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター [DVD]
乳がん検査で出会う女性二人。OL時代の先輩と後輩。
夫とすれ違い、子どもは引きこもり。
社宅のいじめから、万引きをしてしまう女性。
夫が病に倒れ、一人で店をきりもりする女性。
みーんな、何かある40代。
そんな4人が巡りあってバンドを結成し、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」一曲だけをマスターし、高校の文化祭で披露するまで。
4人がケンカする場面が印象的。
本音でぶつかって、「キライだ!」と連発しあい、その上で信頼関係を築く。
このプロセスがなくては、親友にはきっとなれない。
本番では、もうだめじゃない?とハラハラさせられるのだが。
偶然観たけど、久しぶりに、心から観て良かったと思える作品。
以前、横浜開港資料館の企画展「宣教医ヘボン」で、展示されていたヘボン先生作成の「和英語林集成」初版でAbunai(アブナイ)の漢字が「浮雲」とあり、「おかしいな~、冒頭ページから誤植なんて(-_-;)」とずっと悩んでいた。
ネットで調べたところ、江戸時代から明治にかけて「浮雲」をアブナイと読むのは一般的だと判明。
おしゃれでないの~~! 二葉亭四迷の「浮雲」も心の危うさが描かれたものだそうで。
次に疑問だったのは、初稿の元となった手稿(ヘボン先生の手書きメモ)の「浮雲」の傍にあった「阽」という文字。こんな日本語あるのか???
http://www.meijigakuin.ac.jp/mgda/main/waeigorin.cgi?lang=&book=0301&page=6&zoom=1&index=1
(明学のデジタルアーカイブスで、手稿から10種の改訂版が調べられる)
という疑問を抱いたまま、企画展の特別講座「資料にみるヘボンと横浜」に出席。
講師は東洋大学准教授の木村一先生。
「Abunai アブナイ 浮雲 Dangerous, take care」という項目について「浮雲の当時の読みがそうだった」と触れてくださったのですが、阽には触れられず、終了後講師に質問したところ、ヘボンが手稿を作るにあたり漢字の参考にした『雅俗幼学新書』を写したのではないかとのご説明。間違って写した可能性も大きいらしい。
『 雅俗幼学新書』を観てみたい。古本なんて、入手できないし・・・。ナント国立国会図書館デジタルのページにありました! 「阽 アブナシ アヤウシ」と。http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1089371
178コマにあった~!ヘボン先生、これを参考になさったのね!
講座に参加しなければ、ネタ元がわからなかった!
この漢字を調べると、
http://moji.tekkai.com/zoom/%E9%98%BD/page.html
で、今でも「あやうい」とも読む「漢字」であることが判明。日本語だったんだ(*^^)v!
この謎ときのお陰で、ヘボン先生への親しみがまた一つ増した気がします。
今日は水曜のレディースデー。
でも、我が家のリビングで、ケーブルテレビから観たかった映画が流れてくる。
コレに決まり!
妻を亡くし、自分と同じ医学を志す息子と、医師のプライドを賭けた医療ミスを巡って対立してしまう男。
夫の浮気を許せず、子ども二人の母役割は勤めあげようと自らを縛る女。
女が留守番を買って出た海辺の宿の唯一の客として男が現れ、お互いを知るにつけ、惹きつけられてしまう。台風という極限状況がMAXの盛り上がりに至らせ。
最後は悲恋に終わるのだが、女の家族の解決策が現代的。
今の日本でもよくある話なのだと思う。それでも、主人公二人の魅力に、映画という別世界に誘い、浸ることができる。
ドラマ「半沢直樹」、東京編から観ました。
悪役の香川秀之さん、「歌舞伎に集中しなくてもいいのかな~」と余計な心配。
そして、ドラマの結末の子会社への出向があまりに衝撃的であり、原作に忠実な結末ということで、続編を活字で確認してみました。
銀行や証券業界に対しては、とても疎く、登場人物も多く、人物相関図を確認しながら読み進め、冒頭50ページあたりまで、何回か挫折しそうになったのですが、それ以降は加速度がつき、ほぼ一気読み。
私は、団塊世代でもなく、バブル世代の一翼を担うのでしょうが、とても地味な社会人時代で、ロスジェネ世代と交わることもなく引きこもったので、世代間の評価は「そんな括り方もあるのか」という程度で、最後は人物本位ではないかといつも思っています。
今回もIT業界が描かれ、「これって★☆★☆システム?」と思える会社が出てきたり、ホワイトナイトという言葉も、IT業界が時代の寵児と持て囃されて以降の時事用語だと思え、ここに書かれていることが、現実社会ではどれだけありうるのか、私の知識ではまったくわからない有様。
それでも、各登場人物の気持ちを丁寧に描きこんでいるので、推察するのは容易。
そして半沢直樹の最後の人事の発表。
そこがゴールではなく、続編が今、週刊誌で連載中なのだとか。