leaf's blog

記録しておきたい文章を綴ります。

清須会議

 清須会議の映画プロモーションが、またまたしつこい。

単行本は高くて、図書館の順番も果てしなく遠く、読むのはあきらめていたが、文庫版が出たことがわかり、映画を観る前に読む。

ほとんどが登場人物の「モノローグ」であり、現代語版である。

恋や妬みの感情は、情勢分析を見失う。恥ずかしいほど、あからさまなんだから。

時代劇の登場人物は、お互いの関係で、呼び名が変わってくるので、何回か、登場人物一覧を見返す。映画なら、顔で簡単に判別がつくのだが。

 映画を観るのが、これで本当に楽しみになってきた。

清須会議 (幻冬舎文庫)

清須会議 (幻冬舎文庫)

 

 特別お題「芸術の秋」ブリヂストン美術館「カイユボット展」キャンペーン!>

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だから荒野

 桐野夏生さんの新作・・・だから(?)さっそく、amazonで購入。

 

久しぶりの当たり! 女性の「あるある」感満載!

平凡な40代女性が、家族のきしみを感じ取り、彼女の誕生日を祝う席から失踪する。

彼女の行動が、家族の知らなかった面をあぶりだすきっかけとなり、夫、息子二人それぞれの日常に、波紋を呼び、予想外の展開に。

ひきこもりの息子への対処、無責任な姑、出会う人々の本音。

自分だったらどうする??? どこが着地点???

だから荒野

だから荒野

 

 

冷血

 以前から購入してあったのですが、2段組み上下だったので、入院時に読みとおそうと思ったのですが、4人部屋が意外に楽しく、下巻は、退院してから読みました。

 

ネットで知り合った若者二人が、ゲーム感覚で一家4人を殺害。

その「やりきれない」犯罪を、刑事・合田雄一郎の目で、あぶりだす。

読み進めるに従い、どこかに「どんでん返し」や「救い」を求めてしまうのですが、最後まで表題どおり「冷血」でした。

入院時に読む本としては、少々、選択を誤ったような。。。

冷血(上)

冷血(上)

 

 

 

冷血(下)

冷血(下)

 

 

日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体

とりあげるか迷ったのですが、これを自ら回避することは、自己認識がまっとうにされていない裏返しではないかと思いなおし…。

 

書店3つを回ったところ全て売り切れ。仕方なくamazonで取り寄せました。

 

日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体 (講談社+α新書)

日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体 (講談社+α新書)

タガメ」はカタカナ表記ですが、これは男の財力をチューチュー吸いつくす「田亀」と自らを押しこめる「タガ」に囚われている「女」=タガ女の二つの意を含んでおります。

若い女性も専業主婦になりたいという意識が高まっているようですが、やはり結婚前は「仕事、無理にしなくていいよ」「年に一回くらいは好きなところに旅行に行こうね」「ボクの給料の管理は任せるよ」という人についつい心が奪われてしまうようです。

そして、ダンナのおこずかいは月1万から3万に抑え、自分の支出は底なし。

 

「幸せ」の砂上楼閣は案外脆く、「佳苗さま」のように、都合のよい夫が自分から離れる気配を見せると一転、ワイン瓶でダンナの頭を一撃、死体を切り刻むという暴挙に。

 

少子化問題や女性の「産み時」が懸念されていますが、晩婚化の解決が先。でもこの現実を考えると、男性が結婚に踏み切れず、結婚したとしても「できちゃった婚」のような理性を超える現象のため、親になりきれず。。。

 

ここはフランスのように、事実婚でも障害なく子育てができ、男性と女性の個人が生活費を折半し、子育ても老親介護も住宅ローンも平等に責任を負う。この方向性に向かわない限り、解決しないのでは? 転勤はもちろん「個人」で。

 

 この本を20代のうちに読むことをおススメします。

 

 

上野先生、勝手に死なれちゃ困ります~僕らの介護不安に答えてください

親を介護する準備、親に死なれる準備、その心構えを教えてほしい

やがて訪れる超少子高齢化社会の中で、日本の社会保障はどうなってしまうのか?

 

対談形式でこの問いに答えるべく、1冊の新書に仕立てられ、とても読みやすい。

 

(古市)子育てには「のびのび育児」と「きっちり育児」があるそうで。

 

(古市)子育てには当たりハズレがあるから、そのリスクを積極的に引き受けたくない。

(上野)そりゃ晩婚化、非婚化、少子化は進むでしょうね。

 

 

(古市)食事中に携帯をいじって何がいけないんですか?

(上野)はあー、こうくるか。

(古市)一緒の食卓に座りながら、家族かどうかを問わずに好きな人とつながる。素敵な光景じゃないですか(笑)。

これって、「世代の踏み絵」かもしれません。ちなみに、私はやはり「食事中の携帯」に抵抗があります。

 

その他、介護保険、起業、年金など、「先人」上野先生に聞いて今後の指針を得ようとする古市くんですが、上野先生の「お答え」も、全てが成功例ではなく、現在進行形だったり、理想論だったりします。

ここはひとつ「若さという可能性」に、賭けてみたいところです。

 

 

 

日本辺境論

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

語彙力・読解力検定1級受検問題集に「現代社会を読み解く15冊」が提示してあった。

図書館で検索すると、予約がスムーズにでき、とりあえず5冊借りた。

その一冊目。

『日本は辺境であり、日本人固有の思考や行動はその辺境性によって説明できる…』

 

歴史、国際状況、言語など、さまざまな視点から、私たちの「思いこみ」をあぶり出してくれる。難しい用語はいくつか出てきますが、iphoneの辞書を片手に(単語帳にして、あとで見返すため)読み進めれば大丈夫。

水戸黄門の印籠を出す場面についての考察など、噴き出してしまいました。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

自分が読む前に、書評を読まないようにすることが、どれだけたいへんだったか。

発売前の情報がなかったので、まっさらな状態でページをめくることが、作者の狙いと思えたので。

そして、これから読む人にも、下手な情報を与えたくありません。

どんな年代の方でも、それなりに楽しめることができそうです。

ふり返ってみると、自分にも、「不可解な断絶」の経験があります。その疑問を確かめてみる機会はあったのでしょうが、避けて通ってきたかも。

私はきっと、「クロ」に近いのでしょう。

登場するクラシック音楽でも、海外生活でも、本書に登場するささいな描写にこだわって、空想を泳がせられるのが「読書」の悦び。